「ママと娼婦」「夜風の匂い」 ジャン・ユスターシュとフィリップ・ガレル。

2人とも、ジャン=リュック・ゴダールら、ヌーヴェルバーグの監督たちから尊敬される存在、という。そのへんのことに全然詳しくはないが、また2人の映画自体を見る機会も非常に少ない。


1本だけ見たことのあるジャン・ユスターシュ作品。何本かが特集上映されるという時に、その中でもジャン=ピエール・レオーが出てるし、と「ママと娼婦」を見た。


特に時間も調べず見にいったので、その長さにびっくり。登場人物たちが話しているシーンで場内が明るくなり、これで終り?こういう終り方?と一瞬思ったら、休憩だとアナウンスされる。歴史ものなどは長い場合も多いが、これは登場人物たちの日常だけで3時間以上あったんではないだろうか。遠かったので「まだあんの?まだあんの?!」と思いながら見てしまった。


フィリップ・ガレル作品の1本は60、70年代頃のモノクロの作品だった。


もう1本の「夜風の匂い」は、わりと最近、数年前の作品で、カトリーヌ・ドヌーヴも出ている。


セリフもほとんどなく、音楽もない。ただ日常の音だけがあり、ただただ静かに展開し、静かに終わってゆく。でも、こういう方が現実的なんじゃないだろうかとふと思った。説明的な会話ばかりする訳がない、これが実際に近いのではないだろうか、と。


かつてガレルは、“お金のことを考えれば考えるほど、なぜ必要なのかわからなくなってくる”と語っていた程欲のない人だと読んだことがある。昔の作品で全く音声の入っていない作品があるらしいが、実験的なものを撮りたかったのではなく、ただ録音機材を借りるお金がなかったので、“じゃあ音はいいや”となったとか。(ちなみにカトリーヌ・ドヌーヴ、自ら出演したいと手紙を書き送ったという話。)とても気になる監督だ。






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