「ブロークン・フラワーズ」

BROKEN FLOWERS
2005アメリカ
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ビル・マーレイ ジェフリー・ライト



ピンク色の便箋と封筒で送られてきた手紙で始まる見当はずれの旅。書かれていた “息子がいる”という言葉は寝耳に水。


“差出人は誰か”と4人の女性を訪ねる旅で、最初は歓迎されていたビル・マーレイ演じる主人公が、あとになるほど招かれざる客になってゆく、あのエピソードの並びは自然とそういう流れになったのか、何か監督に意図するところのあるものか。


おまけに、差出人は判らず、当然のごとく息子の所在もつかめず、勝手に “この少年がオレの息子か”と早合点した少年は息子でも何でもなかったという、『旅に出ても何も解決せず何も得なかった主人公』は、数あるロードムービーの逆をゆく。
路上で立ち尽くすビル・マーレイの表情はなんともいえない。
すべて宙ぶらりんになる、あのどうしようもなさ。


映画の冒頭には、ジャン・ユスターシュに捧ぐ、と。










06.5.10