映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「ココシリ」

KEKEXILI : MOUNTAIN PATROL
2004中国
監督:ルー・チューアン
出演:デュオ・ブジエ
    チャン・レイ



チベットの山中、ココシリと呼ばれる奥地にまで足を踏み入れ、チベットカモシカの密猟者を取り締まる山岳警備隊の実話をもとにした「ココシリ」。


隊員はすべてボランティアで資金に乏しく、しかも命の危険を伴いながらチベットの自然を守ろうとしていたことが、同行取材した記者の書いた記事によって広く知られるようになるまでを描く。


隊員の中に裕福な暮しをする者など1人もいない。それでいてなお、自分の生活や家庭を犠牲にしながら取り締まりに熱意をかたむける人々の姿は、それゆえにきれいごとでは済まないというところまでもが描きこまれる。


お金がなく、女性から生活費を借りる若い隊員。
密猟者から押収したチベットカモシカの毛皮を、よりによって隊員が密かに売っていたという事実。しかし簡単に責めることもできない。そうしないと資金を工面できないからだ。
また、一度捕まえた密猟者たちに与える食糧すら底をつき、“運よく山を下りられれば助かるだろう”と、命がけで歩かねばならない雪山で密猟者たちを解放するしか手立てのない様子。


人間には太刀打ちできない自然のなかで、それを壊そうとする者と守ろうとする者の攻防は、静かながら凄まじささえ漂う。

毛皮を売ってまで資金調達していた隊員たちはほかに方法がないほどギリギリの所に立たされていたし、密猟者たちはほかに生活する術を持たなかった。どちらもが命がけだったのだ。文字通り、死者が出るほど。


記事によってすべてが明るみに出てからようやく保護区に指定され、ボランティアの山岳警備隊は解散、ココシリは国によって管理されるようになったという。


隊員から深い信頼を得、つねにギリギリの選択や判断を迫られながら、すべての責任を自らの肩に負う覚悟をした人物として描かれる隊長の、孤高の姿が美しい。それゆえ、ラストがよけいにもの悲しいものとなる。


ココシリは、モンゴルの言葉では“美しい娘”、チベットの言葉では“美しい山”という意味だそうだ。






06.7.21

広告を非表示にする