イングマール・ベルイマン監督

朝のニュースで、イングマール・ベルイマン監督死去の報を聞く。昨日、7月30日に亡くなったそうだ。


ベルイマン監督の特集上映があり、「第七の封印」と「魔術師」を見たのは今年1月のことだった。ベルイマン映画とは、なんと示唆に富んで、なんと印象深いものか、と感嘆し、スクリーンに映るモノクロの映像の美しい陰翳に見入った。


この両方の作品で、マックス・フォン・シドーが主演している。「第七の封印」では、象徴的に〈死〉を擬人化した存在も登場し、主人公である若い頃のマックス・フォン・シドーは思慮深く浮世離れした顔で、まるで修行僧か仙人のようだった。翻って、「魔術師」でのマックス・フォン・シドーは、「第七の封印」とはまったく違う雰囲気を醸し出していた。「第七の封印」で虚無を見つめる目をしていたなら、「魔術師」では、闇を湛えた目をしていた。


50年も前に既にこれ程素晴しい映画を作り、50年経った今も映画界で活躍するマックス・フォン・シドー、そしてベルイマン監督を、心底、素晴しい映画人であると思い、敬服した。


それからたった半年ほどで、ベルイマン監督の訃報を聞くことになろうとは思いもよらなかった。


映画界と映画ファンは、稀有な存在を失った。ベルイマン監督は、ほかのなにものにも換え難い作品とその名を、映画史に大きく遺していった。



合掌






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