映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」

HOT FUZZ
2007 イギリス=フランス
監督:エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ
    ニック・フロスト
    ジム・ブロードベント



本当に、公開されてよかった。前のめりになって見た「ホット・ファズ」。


ストレートなコメディだと思って見に行ったこの作品。しかし単なるコメディかというと、案外そうでもない。見る前に持っていたイメージは、わりにあっさりと裏切られる。


極端に正義感が強く、優秀すぎるあまりに疎まれて田舎の警察署に左遷される主人公ニコラス・エンジェル。周囲の天然ぶり(特に相棒!これがまたいいキャラ)と違い、主人公のキャラクターが最後まで崩れないところがいい。基本的にはポーカーフェイス、でも奇天烈な人々を前に怪訝そうな顔をしたり唖然としたり、口を開けて驚いた顔をしてるところなんかは特に好きだ。しかも、コメディ映画には無用の長物じゃないのか、と思えるほど、いい声で話す。


左遷先で相棒となるダニーもいい。刑事映画が好きで、繰り返し何度も「ハートブルー」と「バッド・ボーイズ」が出てくるのだが、…ニコラス・エンジェルが最初そうだったように、自分もこの2本はちゃんと見たことがないのだが…、でもあんなに繰り返しこの2本のパロディのシーンが出てくると、ほとんど見たような気分だ。


コメディらしいギャグのシーンも多々あって楽しいが、最も“単なる”コメディらしくない、『これは なに映画だ』という感覚にとらわれるのが、後半の銃撃シーン。


ニコラスにある秘密を知られた村人たちが攻撃してきて、それも、スーパーで食料品を投げてくるのはいかにもコメディらしいのだが、村の老人たちが窓から狙撃(!)してきたり、自転車で疾走しながら銃撃(!!)してきたりするシーンは、ものすごくシュールな画にも見えて、笑うとこなのか笑っていいのかなんなのか判らないような、不思議な気分になる。なんせ、いかにも のどかな田園地帯のご老人、という風情の、花柄のワンピースを着てストールでも肩にかけてるような老婦人までもが、ものすごい銃撃戦を繰り広げるのだから!それも、いかにもイギリスらしい、緑あふれる美しい村で。見てるこっちはすっかり呆気にとられてしまう。


ニコラスを強引に左遷する上司役で、ほんの少しだがビル・ナイが出てるのもツボ。村の警察署長役ジム・ブロードベントは、「アイリス」でのアカデミー助演男優賞受賞を忘れてしまいそうなほど思いっきり悪役で、それもよかった。


また、意外にグロテスクなシーンが入っているのも、単なるコメディに見えない理由のひとつ(連続殺人事件の描写なんて…)。妙に映像がかっこいいところもそうだ(本当にかなりかっこいい)。


この「ホット・ファズ」を知ったのは、何ヶ月前になるか、その頃は、かなり面白そうだし公開されるのが楽しみだ、とのんきに思っていたが、公開にこぎつけたのはネット署名が決め手だったとか。公開が決まってから署名のことを知ったが、「ホテル・ルワンダ」に続き、こういうことってあるのだなぁ、と。そして“署名がなかったら公開してなかったかも、ってこと?”と、そっちにちょっと憤慨。なんでこれが、と思うような作品が、いわゆるDVDスルーになることが最近特に多い気がして、とにかく映画館で見たい者としては残念でしかたがない。この「ホット・ファズ」の監督・脚本コンビの前作「ショーン・オブ・ザ・デッド」も、たしかDVDスルーだったように記憶しているが、劇場公開してほしかった。次回作は、署名がなくっても公開してほしい、ぜひに。






08.7.30