映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「敵こそ、我が友 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生」

〈ドキュメンタリー〉
MON MEILLEUR ENNEMI
2007 フランス
監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:ニール・アシャーソン
    ウーテ・メスナー ほか
ナレーション:アンドレ・デュソリエ



ナチスの戦犯、クラウス・バルビーが、戦後何十年も、いかにして生き延びたかということの、驚くべき“裏側”を語るドキュメンタリー。


ナチスの戦犯・逃亡犯を題材にした映画は、近年なら、「ゴールデンボーイ」や「マイ・ファーザー」などがある。これらはどちらも劇映画だ。


ナチスの逃亡犯であることを長らく隠して生きてきたものの、秘密を知られたがゆえ、自らまた過去を思い出してゆくが、その心理的変化をイアン・マッケランがさすがの演技で演じ、秘密を知った少年役を今年1月に亡くなったブラッド・レンフロが演じていた「ゴールデンボーイ」。


生体実験などをおこなったナチスの医師ヨゼフ・メンゲレと、戦後対面した息子の葛藤を中心に描いた「マイ・ファーザー」は、息子役がドイツの俳優トマス・クレッチマン、メンゲレ役は、これが遺作となったチャールトン・ヘストンだ(※メンゲレは実在の人物)。


翻ってこの「敵こそ、我が友 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生」では、被害を受けたユダヤ人の間でも悪名高いこのクラウス・バルビーが、戦後、CIC(米陸軍情報部)に協力していたという驚きの事実や、ボリビアで実業家として暮らし、真実はわからないとは言うものの、チェ・ゲバラの暗殺計画を立てたと本人が語ったなどという話まででてくる(終戦からずいぶん時間が経ってなお、誰かがヒトラーをジョークにすると、ふだんは素性を隠しているにも関わらず、その時だけは “私の前で総統のことを悪く言うな” と激昂した、というエピソードも)。


当時を知る元軍人や歴史家、議員、被害者らなどの証言で映画は進んでゆくが、ただ淡々とは終わらない。


ラスト、とうとう法廷に立ったクラウス・バルビーの裁判映像で、証言するユダヤ人の被害者たちによる糾弾の叫びは、決して消えない戦争の惨禍、非道さと、忘れられない人間の歴史を眼前に突きつける。







08.9.10