「永遠のこどもたち」

EL ORFANATO
2007 スペイン=メキシコ
監督:J.A.バヨナ
出演:ベレン・ルエダ
    ジェラルディン・チャップリン ほか



美しい模様の包装紙を子供の手が破ると、そこに文字が現れるという、オープニングタイトルが印象的だ。


大別すればホラーになる内容だが、怖さよりも、むしろ情のほうが強く残る。登場人物たちの、子を思う命がけの愛情や、または子を思うがゆえに許されない行動をとることや、そんな、様々な深い情が絡む。


主演のベレン・ルエダ(「海を飛ぶ夢」)の、愛情深く、苦悩する母親の姿を体現する演技がとても素晴しい。


しかし、被害者の“破壊”も著しい交通事故や、過去と現在を結ぶ存在である とある少年を見た時には、製作者ギレルモ・デル・トロの名を思い出し、「ハンニバル」でゲイリー・オールドマンが演じていたメイスン・ヴァージャーまで思い出し…(ちなみにギレルモ・デル・トロは、写真を見ると、作っている映画が想像できないような、つぶらな目が印象的な風貌だ)。


映画の終わり方は、たとえば製作のギレルモ・デル・トロが監督した「パンズ・ラビリンス」のようなラストをよしとするなら、この「永遠のこどもたち」では、描かれたラストの一歩手前で終わるのがよかっただろう。きっちりと状況の説明となるラストは、もしかしたらない方が より美しかったかもしれない。


それでも、エスカレートし尽くした描写で観客をただ怖がらせるホラーとは一線を画した、人物描写も深い、とても美しいホラーだった。






09.2.1