映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

ドキュメンタリー「スティル・アライヴ」 及び クシシュトフ・キェシロフスキ監督初期作品5本

昨年のちょうど今頃、“キェシロフスキ・プリズム” と銘打って、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の作品群と、監督の没後10年に制作されたドキュメンタリー「スティル・アライヴ」が大阪のシネ・ヌーヴォにて上映された際には、この映画日記でも触れた。


そして今回、7月23日まで、キェシロフスキ監督の初期作品5本と「スティル・アライヴ」が、同じシネ・ヌーヴォにて再上映されているので、昨年、それらを見た時の記録を、今回ここに書きうつしておこうと思う。



クシシュトフ・キェシロフスキ監督初期作品5本のストーリーの記録
09.7/28鑑賞分
「地下道」1973 ポーランド 監督・脚本:K・キェシロフスキ
Przejscie podziemne(モノクロ/ドラマ)
夜、別れた妻のもとへ向かう、教師である元夫。地下道にある土産物店で働いている元妻は、ショーウィンドウの飾り付けの最中。夫は未練があり、やり直したいが、妻はそうでもない。別れるきっかけとなったやりとりについて、もう一度話すふたり。「あの時“売女”と言ったでしょう」「カッとなって言った、後悔してる」「それが本当の私」
再びの関係を求める夫。応じるかに見えた妻だが、結局、早く仕事に戻れ、と時刻を指し示され、地下道から、既に明るくなっている地上へと戻る夫。


「初恋」1974 ポーランド 監督・脚本:K・キェシロフスキ
Pierwsza milosc(カラー/ドキュメンタリー)
17歳で妊娠した少女と、20歳の彼。ふたりは結婚して子供を産むと言うが、住居の問題、まだ高校生である少女の学校のことなど、様々な問題が発生する。それでも役所で式を挙げるふたり。決して喜んでくれるばかりではない、友人の言葉も。
そして女の子が産まれ、この先もつらいことが起こるかも知れないことを、まるであえて考えないよう努めているかのように、子供の将来を想像して話したりと、希望に満ちて見えるふたり。


「平穏」1976 ポーランド 監督・脚本:K・キェシロフスキ
Spokoj(カラー/ドラマ)
刑務所で同じ房だった3人の男。2人が仮釈放となる。その中の1人、アンテク・グララクは、前の彼女とよりを戻そうにもうまくいかなかったが、なんとか建築現場の仕事にありつき、部屋も決めて、同僚ともうちとけ、“平穏な暮らしを求める” と同僚に語る。
刑務所にいたころ、屋外での作業中、困っていたアンテクに親切にしてくれた家に礼に行き、その家の娘ボジェナとつきあい、子供ができて結婚する。
その矢先、現場に資材が届かないなどのトラブルから、親方と職員がギクシャク、間に挟まれたアンテクは気を遣う。ストレスから、年若い妻に酷いことを言うまでに。そして、裏切り者だとして袋叩きにあい、血を吐きながら“平穏”とうめく。
結局、望む“平穏な生活”は、当たり前の生活のようでいて、簡単には手に入らない。


09.8/3鑑賞分
「短い労働の日」1981 ポーランド 監督・脚本:K・キェシロフスキ
Krotki dzien pracy(カラー/再現ドキュメント)
1976年、ラドムで、食料価格高騰に抗議するデモ・暴動が起き、ポーランド中に広がる。若くして党の第一書記になったが、党の地方支部に押し寄せる民衆を目の当たりにし、様々な思いを巡らせながら民衆とわたり合って、事態収拾のプレッシャーに耐えるも、民衆がとうとう建物に火をつけて、警察に救出される、というある男の一日。
のちのキェシロフスキ作品を想起させる、“登場人物のその後の展開” を描いたシーンが印象的に挟みこまれる。(そしてこの再現ドキュメントは、当時のポーランドで上映を差し止められた。)


09.8/9鑑賞分
「スタッフ」1975 ポーランド 監督・脚本:K・キェシロフスキ
Personel(カラー/ドラマ)
入学1年目で学校が廃校となり、オペラ座の衣装係として就職した青年、ロメク・ヤヌフタ。ある時、ほかの衣装係とオペラ座の歌手が、衣装のことで揉めていざこざとなり、事態を収める意味もあって、スタッフみんなでまとまって、何かショーをしようと提案するロメク。そしてその案が認められる。
同じ路面電車に乗る女の子と知り合って親しくなったりと、生活や仕事がうまくいき始めたと思った矢先、オペラ座の管理職から呼びだされるロメク。
“スタッフみんなでのショーを認めるから、そのかわり例のふたりの騒動を、見たままに記録して報告しろ” と迫られる。ここにも政治がある。オペラ座といえども、芸術を体感できるだけの場所ではない現実。
ある年配の仕事仲間との会話が印象的。
仕事仲間「ここで働くことは、飛んでいるようなものだ。鳥のように。これこそ芸術、とみんな感じている。感じるか?」
ロメク「感じる。まるで、体が大きくなるように。」


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「平穏」の映像の雰囲気は、のちのキェシロフスキ作品を既に感じさせ、「短い労働の日」では、更に直接的な繋がりがある。







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