「シルビアのいる街で」 “音”の映画。

DANS LA VILLE DE SYLVIA
2007 スペイン=フランス
監督・脚本:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:グザヴィエ・ラフィット
    ピラール・ロペス・デ・アジャラ



ひたすら“音”だ。靴音、車の走り去る音、話し声、風が吹いた時に木々の葉を揺らす音、街の喧噪… あえて音が際立つように作られている。


画家志望らしきひとりの青年が、6年前にバーで知り合った女性、“シルビア”の姿を求め、6年経った今、カフェで見つけた“シルビア”のあとを追って街を彷徨う。そういうストーリーが、あるにはある。しかし、あってないも同然だ。


青年は、カフェでひたすら人間観察し、ひたすら“シルビア”を追い、そしてそれは、ひたすら“音”の中を彷徨う青年の姿である。


“音”を描くことが目的にも思える映画だ。ちなみに、カフェでの人間観察シーンはなかなかだと思ったが、ラスト近くの市電の駅のシーンは、人々を自然に描こうとしつつも、かえってあざとく見えた。






10.9.29