「ゴモラ」

GOMORRA 

2008 イタリア

監督:マッテオ・ガローネ

出演:サルヴァトーレ・アブルツェーゼ

   シモーネ・サケッティーノ

 

 

2008年の第61回カンヌ国際映画祭にて、最高賞パルム・ドールに次ぐグランプリを 受賞しながらも、2011年になるまで 日本では公開されなかった「ゴモラ」。タイトルは、旧約聖書の創世記による。天から降る硫黄と火によって滅ぼされた死都ゴモラをさす。

 

カモッラという、イタリアに実在する犯罪組織の実話(産廃不法投棄、麻薬取引、殺人 等)に取材して書かれた小説がもとになっている。作者は、この “実話に基づいた” 小説を発表したがゆえにカモッラから暗殺予告を受け、警察の保護下で生活し、のちに イタリア国外への脱出を余儀なくされたとのことである。

 

そして、この作品のリアリティーは、通常の劇映画とは一線を画すものだった。

 

この映画が もし、ハリウッドで、世界的な有名俳優を使い、CGによる特殊効果や 劇的な映画音楽を使い、いかにもハリウッド的な “スタイリッシュな映像” で制作されていたとしたら、たとえ実話がもとであろうとも、これほどのリアリティーを実現することは出来なかったと思われる。リアルであるがゆえに、あの街の閉塞感、そして犯罪現場・事件現場に居合わせた瞬間の恐怖感が、不気味な重みでもって 観客に迫ってくる。稀有なまでに表現された そのリアリティーは、まさに 賞賛に値する。

 

 

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2012.1.4