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映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「レッド・ライト」

RED LIGHTS

2012 スペイン=アメリカ

監督・脚本・編集:ロドリゴ・コルテス

出演:キリアン・マーフィ

   シガニー・ウィーバー

   ロバート・デ・ニーロ

   エリザベス・オルセン

   トビー・ジョーンズ

 

 

ロバート・デ・ニーロ主演、というイメージをいだきやすいポスターデザインで宣伝されていた、この「レッド・ライト」。しかし見始めてすぐに、“主人公” はキリアン・マーフィーの役柄のほうだ、となる。

 

それで、ティムール・ベクマンベトフ監督作品「ウォンテッド」を思い出した。ストーリー的には、ジェームズ・マカヴォイを主演とみなすのがいちばん自然である内容なのに、当時ジェームズ・マカヴォイの知名度がそれほど高くなかったため、ポスター等に、共演のアンジェリーナ・ジョリーひとりだけの写真が使われ(アメリカ本国版と日本版とでデザインがどれほど違ったかまでは知らないが)、現場でもアンジェリーナ主演という扱いになっていたのであろうかと想像させる、あれである。

 

デ・ニーロをどうしても大きく扱うことになるのはわからないではないが、とはいえ “キリアン・マーフィー主演” で宣伝すればよかったじゃないか、などと思いはしたものの、のちに、わざとこういう宣伝をしたのか、と感じた。観客に、キリアン・マーフィーに必要以上に注目させないため、“キリアン・マーフィーの役柄に何かある” と思わせないためだ。

 

このポスターを公開前から映画館で見かけていたら、デ・ニーロ主演作というイメージが自然とつく。デ・ニーロが超能力者役だと書いて、“この男を疑い続けろ” というキャッチコピーをつける。もちろん、ひねくれ者の映画ファンは深読みしようとするだろうが、そういう観客ばかりでもないだろうから、キリアン・マーフィーの役柄からとりあえず観客の目を逸らすには、案外これでじゅうぶんだろう。

 

「ウォンテッド」の時のようなことではなく、そういう理由なら、この宣伝のしかたもわかる、と思った。まさか、じつは「ウォンテッド」と同じ理由だった、ということはないだろう、それにしてはキャッチコピーが意図的すぎる。

 

つまり、宣伝する側にしてみれば、なんとか観客に深読みさせず、最後に あっと驚いてほしい、そういう作品である。ラストでのストーリー運びは、この作品と違う題材の映画にも見かけるパターンで、実際それほど珍しいものではない。ちなみにこれは、珍しくないから たいしたことない、という意味で言っているのではない。かねてから使われているパターンであっても、パターンそのものではなく、それをどう語るかのほうが、むしろ重要である。

 

「レッド・ライト」は、珍しくはないパターンであるとはいえ、そのラストへ至るまでが細やかで、なおかつ、それ以上情報を入れなくてもわかる、というようなことをやたらと台詞などで説明しない、という点で、よく出来ているという印象である。脚本も編集も両方、監督の手によるものだとオープニングタイトルの際にわかったので、そこまで監督本人が手がけているなら、よくても悪くても、本当に何もかも監督の責任、と言われる作品だと思うが、よい結果ではないだろうか。

 

大ベテランも出演しているが、キリアン・マーフィーの演技に、特に惹かれた。

 

 

 

 2013/2/16