「野蛮なやつら SAVAGES」
Savages
2012 アメリカ
監督:オリバー・ストーン
出演:テイラー・キッチュ
オリバー・ストーン作品では、かつて酷評された「アレキサンダー」が、とても好きだった。「JFK」はもうほとんど覚えていない。昔から “社会派” と呼ばれ、戦争あるいは政治を題材とした映画を数多く撮っているが、今回のように、過剰な暴力、不道徳で破滅的、その ただ中で生きる人間を動かすのも、非常に巧みである。
話の中心になるのは若手俳優だが、脇を固めるのが、ジョン・トラボルタやサルマ・ハエック、ベニチオ・デル・トロのようなベテランである。デル・トロの、“悪いやつ” を演じる時にはとことん悪い あの感じ、不快な人物造形もまた、巧みだ。チェ・ゲバラを演じた俳優がああなるのだから、さすがである。
ラストの展開に、“その一歩手前の 破滅の瞬間で終わったほうが きれいだったのでは”、と一度は思ったが(巻き戻しが嫌いなのだ)、最後まで見ると、まあ そうすると妙に青春映画的な様相も帯びてくるゆえ、オリバー・ストーン作品に今更青春もあるまい(とはいえ もともとそういう側面もないとは言えないのだが)、暴力や不道徳さを描くのなら、こうやって丸く収まるのもそれはそれでいいか、と思った次第。
2013/3/9