映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

リメイク版 「死霊のはらわた」(R-18) 30年を経て、ふたたび

〈1981年のサム・ライミ監督作「死霊のはらわた」 リメイク〉

Evil Dead

2013 アメリカ

監督:フェデ・アルバレス

出演:ジェーン・レヴィ

    シャイロ・フェルナンデス

    ルー・テイラー・プッチ

    エリザベス・ブラックモア

    ジェシカ・ルーカス

 

このリメイクの元となっているサム・ライミ監督版(1981)を見たのは、数年前、夜中のテレビ放送だった。その、多少はあやふやとなってきた数年前の記憶を辿りつつ、今回のリメイク版を見たわけだが。

 

まず、いちばんの違いは、リメイク版では、本気で怖がらせにかかっている、というところか。ライミ版は、果たして怖がらせようとして作ったのに結果として面白くなってしまったのか、それとも最初からそれを狙ってやっているのか、どっちだろう、というのが、数年前見た当時の第一印象だった。そして、おそらく後者であろう、という結論に達してこの数年を過ごしたら、先日、本気で怖がらせるつもりで作った作品であるという旨の、サム・ライミ監督のインタビューを読む機会があり、あっさり崩れ去った自分の解釈を前にして、このインタビューは本物か、などと思ってみたりしたのだが(あくまでも、そのインタビューによれば、であるが、サム・ライミ監督としては本気で怖がらせるつもりだったらしい)。しかしそういう作り手の思惑との相違は別として、とにかくライミ版は面白かったわけだが、リメイク版は、ああいう、笑える感じではない。

 

技術的な面での違いというのは、優劣をつけて見るべき点ではない。なにしろライミ版は、今から約30年前の作品であり、現在の技術に及ばないのは当然である。そこはたいした問題ではない。また、リメイク版では、極力CGを使うことを避け、特殊メイクを用いたとのこと。そこにライミ版への敬意が見て取れ、好感が持てる。ちなみに、あくまでも “ホラー的に” であるが、この作品の特殊メイクは、妙な言い方だが、比較的美しいものだったのではないか。ものによっては、醜悪さに偏る(=それにより恐怖感の底上げを図る)作品もあるが、そこはやりすぎないほうがいい。後味の悪さに集約されるのみだ。後味の悪さ イコール ホラー映画として優れている、ということでもないゆえ。

 

ストーリー的には、これは見る側の好みにもよるところだろうが、ライミ版のように、さっさと本題に入ってくれるほうが、観客の集中力が途切れないのではないか。“本題に入る” とは、ホラー的にいうと、襲われるとか何かが起こるとか何かが出てくるとか、要するにそういう展開だ。リメイク版では、あとあと、主人公がなぜ取り憑かれる羽目になったのか や、主人公が取り憑かれたという状況をその兄がなかなか信じず(=薬物の禁断症状でそういう行動をとっているのだ、と最初は受け取る)対処が遅れる つまり 事態が更に悪化する、などの点に自然に繋げたいからであろうが、まず、過去にその山小屋で何があったのか、というところから見せる。で、いち映画ファンとしての勝手な見方であるが。スプラッター映画でそれをしても、退屈になる危険性が高い。この手の作品では、さっさと本題に入るほうがいい。じっくり語るのは、「エクソシスト」的作品のほうが向いていると思われる。

 

スプラッター描写については、これも、技術的なことに関わるため、30年前のライミ版よりエスカレートしていると見て取れるが、そのこと自体が、ホラー映画としてこの作品がライミ版を超えたかどうか、という意味を持つというよりは、いかにも今時のホラー映画であるなあ、という印象を与える、というものだ。つまり、「SAW」シリーズに代表されるような、恐怖心というよりは痛覚を刺激する残虐描写を売りにした昨今のホラー映画を、30年のあいだに経てきたからこそこうなった、というような。月並みな言葉で言うなら、(映画的)時代の流れだ。

 

(悪魔に操られた)蔓性植物が猛スピードで迫ってくる、あの地を這うような視点や、取り憑かれた人物が地下室に閉じ込められたら、扉を破って出てきてもよさそうなものなのに案外出てこない(リメイク版では、扉を開けはするのだが、やはり、案外そこから出てこないのである)ところなどは、ライミ版の “名シーン” ゆえ、踏襲してくれて なによりである。

 

本気で怖がらせようとしているこのリメイク版であるが、ラスト、主人公と悪魔の対決シーンで、初めて笑えるシーンがあった(笑えるかどうかは、あくまでも、観客個々の、“ホラー映画というものの捉え方” によるが)。やりすぎれば、たとえホラーでも笑えるものであり、「死霊のはらわた」をリメイクする限りは、やはり笑えるシーンを入れてこそ、である。笑えるほどやりすぎてこその、「死霊のはらわた」であるからして。笑わせようとしているシーンではなかったのだが。

 

数多あるホラー映画の中でも、「死霊のはらわた」は、いろんな意味で高評価が定着している作品のひとつである。高評価が定着している作品をリメイクすれば、こきおろされたりするのが常であるが、それを解っていてリメイクしたであろうし、そういう作品のリメイクとしては、悪くなかったのではないか。

 

 

2013/5/7