映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「パイオニア」

〈未体験ゾーンの映画たち 2014〉

Pionér

Pioneer

2013 ノルウェー

監督・脚本:エーリク・ショルビャルグ

出演:アクセル・ヘニー

    ウェス・ベントリー

    ステファン・ラング

    ステファニー・シグマン

実話をもとにした作品である。1980年代前半、北海で石油・天然ガスが発見され、ノルウェー政府は、それらを運ぶために、海底500メートル地点でのパイプライン敷設に着手。その大規模な計画に関わったプロのダイバーである兄弟、クヌートとペッター。兄のクヌートが実験潜水中に死亡し、その際の上層部の対応に不信感をいだいた弟ペッターが、事件の真相を突き止めようとする。

 

特集上映〈未体験ゾーンの映画たち 2014〉という形で、ほんの数回しか上映されないことがもったいないほど、見応えのある作品だった。なにしろ、“良作であるにも関わらず、知名度が低いなどの理由で日本未公開のまま終わってしまいそうな作品を、発掘してスクリーンにかけ、劇場未公開となるのを阻止しよう” という趣旨の特集上映なため、昨年の第1回でも、見応えある作品が選ばれており(「ザ・ウォーター・ウォー」など)、なかなか侮れない特集である。

 

たとえば、真相に近づいたために命を狙われていたペッターが海中に潜っている時、ボート上に残っていた同僚が、ペッターであると人違いされて、ボートを爆破されてしまうシーン。海中から見上げたペッターは、近づいてきた別のボートに火の手が上がり、誰かがそこから海に飛び込んで逃げ、まだ同僚が乗っているはずのボートに、無人となった火だるまのボートが突っ込んで爆発する、その一部始終を目撃する。海上でボートが爆発するのと同時に、海中では巨大な赤い水泡が音もなく膨らむかのように見えるところなど、ストーリー上は緊急事態でありながら、映像的にはある種の美しさもあり、その独自の表現が印象的だった。

 

とにかく、日本での知名度の低さゆえの小規模公開が残念だ。ノルウェー作品というと、最近ではベント・ハーメル監督などが注目されたが、やはり、ヨーロッパ映画の中でも、英仏独伊の作品と比べると、日本での公開本数も少なく、となれば、たとえ良い作品・監督・出演者であっても、知名度が低くなるのは当然で、ゆえにこのような形になってしまう。この 「パイオニア」 出演者の中では、アメリカの俳優ウェス・ベントリーが、日本ではまだいちばん知られていると言えるが、ウェス・ベントリー出演、というのは、売りにならないのかどうなのか(自分の場合は、ウェス・ベントリーの出演作を見るのは久しぶり、というのが、じゅうぶん見に行く動機になったが)。とはいえ、劇場未公開で終わってしまうよりは、特集上映中のたった数回でも、上映されてよかった、ということか。

 

ちなみに、アル・パチーノロビン・ウィリアムズ共演の、2002年のクリストファー・ノーラン監督作「インソムニア」が、ノルウェー映画のリメイクであることは聞いてはいたが、その元となったオリジナル版は、この「パイオニア」の監督の作品、とのこと。

 

 

 

2014/4/7