「マッチスティック・メン」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ペーパー・ムーン」 騙し騙され何処へゆく。

リドリー・スコット監督作品にしては珍しく軽いタッチながら、余裕すら漂わせているあたりがさすがな「マッチスティック・メン」。詐欺で大儲けしてプール付きの豪邸に住んでいる、ニコラス・ケイジ演じる主人公。潔癖で、ドアを閉めたかどうかの確認でも鍵をかけたかどうかの確認でも、何でも必ず3回チェック、いろんな言語で1、2、3を唱える(日本語もあり)。


十数年前に別れた妻との間の娘だと名乗る少女が主人公の前に現れ、面食らっていたもののそのうち一緒に詐欺をはたらくようになるが、そのへんも軽快な面白さで見せているのが余裕な感じだ。2人でボーリングへ行くシーンなどもほほえましくて、嫌いなボーリングが楽しそうにすら見えてきてしまう。ジョージ・クルーニー初監督作「コンフェッション」の主演でも光っていたサム・ロックウェル演じる相棒の、いつも屈託なく笑っている、どこか憎めない感じがいい。そんな憎めない笑顔に騙されつつ、終盤は急展開、なんだかんだで詐欺師モノらしくどんでん返しもあり。意外に相棒がキーになってたり… 罪な笑顔と、監督の余裕がミソ。



こちらも余裕しゃくしゃくで作った感じの、スピルバーグキャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」。主人公の詐欺師、実在の人物がモデルというから、いやはやなんとも。


職業別の制服を駆使した変装に小道具、おまけに潜入捜査なみの馴染み具合で職場に混ざりこんだ挙句、捕まったら捕まったで脱走するという、成功すんのかそんなことという手口のオンパレード。なんで気づかれなかったのか。そんなに口がうまかったのか。最終的には詐欺の手口を知り尽くしているとしてFBIの相談役にまでなるという、出来すぎな、でも実際そうらしいのでどうしようもない、という話。詐欺師にいまいち見えないディカプリオ。でも追いかけてくる捜査官はトム・ハンクス、お父さんはクリストファー・ウォーケンと豪華。



しかし詐欺師映画といえば、やはりなんといっても「ペーパー・ムーン」だ。当時10歳でアカデミー助演女優賞を最年少受賞したテイタム・オニール演じる少女と、実の父ライアン・オニール演じる詐欺師のモノクロロードムービー。詐欺師といえばとにかくコレだ。ちょっと生意気で冷めた感じの少女を演じるテイタムが本当にかわいい。






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