「ラスベガスをぶっつぶせ」
21
2008 アメリカ
監督:ロバート・ルケティック
出演:ジム・スタージェス
ケビン・スペイシー
どうも邦題が「ラスベガスをやっつけろ」とかぶり気味なものの、最近のラスベガスもの(なにもそういうジャンルがある訳じゃないが)の中ではいちばん面白かったのではないだろうか。
ごく最近のラスベガスが舞台の映画といえば、オーシャンズシリーズがまずは挙がるだろうが、“大スター”が軒並み出演しているものの、どうにも、何かが足りない感が拭えないとでも言おうか、見終わっていまいち満足感が得られない、“スター映画”ではあるが、それ以上のものがない、とでも言うのか(言いすぎだろうか)。「ラッキー・ユー」(出演:エリック・バナ/ドリュー・バリモア)は、何でもありのラスベガスをストレートに楽しむというよりは、後半特に、競技としてのポーカーに焦点が当たっている感じ(こんな大会が実際に?と思い、感心しつつ見ていた)。
「ラスベガスをぶっつぶせ」は、“実話がもとになっている” だとか “天才学生のカードを読む技術” などが売りではあるものの、ストーリー展開やラスベガスの華やかさでも充分楽しめる。MITに通う天才主人公が、“天才”なのにイヤミのないところも好きだ。その頭脳とカードを読む技術で大儲けして大成功、とばかりはいかずに、けっこうな痛い目に遭い、そこから巻き返すストーリーも観客をひきつけるのかもしれない。
スターというと、主人公をチームに引き込む教授役のケビン・スペイシーと、ラスベガスの用心棒役にローレンス・フィッシュバーンが少し出てくるくらいで、あとはみんな若手。それでもアメリカで封切られた時の興業成績が非常によかったというのが、中身が評価されたことの一端を表しているだろう。
見終わって、爽快感が残るタイプの面白さ。
主演のジム・スタージェスが、仲間に言われて、パンツに大金を隠してラスベガス行きの飛行機に乗りこむ時に、『もし見つかったら…』とものすごいブルーな表情をしているところや、母親に心配かけまいとして嘘を言ったものの、罪悪感を感じながら食事を続けている時の表情など、細かいところでかなりリアルな表情を見せるのが、ひそかなポイント。
08.7.4