「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」+「レンブラントの夜警」

SWEENEY TODD : THE DEMON BARBER OF FLEET STREET(08.3.12)
2007 アメリカ
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ
    ヘレナ・ボナム・カーター
    アラン・リックマン


NIGHTWATCHING(08.3.26)
2007 加=仏=独=ポーランド=蘭=英
監督:ピーター・グリーナウェイ
出演:マーティン・フリーマン
    エミリー・ホームズ



もともとは舞台作品で、初めて舞台で演じられてから150年になるという「スウィーニー・トッド」。19世紀ロンドンを描くが、そこはやはりティム・バートン監督作、忠実な時代考証よりも、匂いたつような禍々しさが際立つ。そして、血しぶきの散る復讐劇と酷く悲惨な人生が、強烈なまでにダークなミュージカルに仕立てられている。


スウィーニー・トッドに復讐の後始末のアイディアを持ち掛けるミセス・ラベットの空想の世界だけは、ただただ明るく色鮮やかで、そこに放り込まれたスウィーニー・トッドの姿はとても不気味で超現実的だ。


スウィーニー・トッドを演じるのは、この役でゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門の主演男優賞を受賞したジョニー・デップ。もともとはミュージシャン志望だったというだけあって、その歌声もなかなかのもの。

次々と復讐を果たしてゆくスウィーニー・トッド。しかし結末もまた悲しい。最初に足元をすくわれたその時から、抗えない苦痛と悲しみに呑みこまれた人生は、最後まで、その渦から逃れられなかった。
19世紀ロンドン。フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカーは、彼を妬む悪徳判事ターピンによって罠にはめられ、無実の罪で投獄。15年後脱獄し、スウィーニー・トッドと名を変えて戻るも、妻と娘の悲惨な運命を知る。そして復讐へ― 共犯者はミセス・ラベット。死体の処理に困ったスウィーニーに持ちかけたアイディアとは、ミセス・ラベットの店のミートパイが突然おいしくなったのはなぜか。ふたりでの幸せを夢見るミセス・ラベットだが、スウィーニーに隠し事が…

そしてこちらは、舞台劇のように創り上げられた「レンブラントの夜警」。


ピーター・グリーナウェイ監督作品すべてを見ている訳ではないが、しかしこの監督の特異な特色であると思える強烈な毒々しさと救いのなさは、この作品にも満たされている。


かつては画家としてのあらゆる成功を手中に収めたものの、晩年は破産し酒におぼれ、決して幸せとは言えなかった人生でよく知られるレンブラントを主人公にすれば、当然と言えば当然なのかもしれないが、それにしても陰鬱だ。






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