「脳内ニューヨーク」

SYNECDOCHE, NEW YORK
2008 アメリカ
監督・脚本:チャーリー・カウフマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン
    サマンサ・モートン
    ミシェル・ウィリアムズ



マルコヴィッチの穴」、「エターナル・サンシャイン」の脚本家、チャーリー・カウフマンの初監督作である「脳内ニューヨーク」。


チャーリー・カウフマン印の奇想天外さ、というのが売りの本作。たしかに― 幾度となく繰り返される、一向に噛み合わない会話。また、書いている本人はそこにいないのに、いつの間にか書き進められている日記。そして、制作中の劇中劇と、主人公ケイデンの生きる現実の境界があやふやになっていくところなど― いかにも、と思わせる。


ケイデンの作る戯曲のために、ケイデンを演じる人が現れ、その人を演じる人が現れ…


ボヤが出ている状態の家が平然と売られており、その家を買った人物もまた、部屋の一角で燃えさかる火もそのままに、平然と暮らしている、というシーンが笑えた。


それから、「マルコヴィッチの穴」といいこの映画といい、チャーリー・カウフマンにとっての “いい女” とは、キャサリン・キーナーなのか。


妙にさみしいラスト。人生も、すべては脚本に書かれたものか…


自分が操ろうとしたものに、結局操られている。脳の中の巨大な世界も、もはや自分では操れない。何かをやり切ることもない。終わりを求めても届かない。






09.12.9