ワールドカップにちなんで、サッカー映画を少し。

ワールドカップイヤーの今年、6月11日から7月11日の1ヶ月間、そう、今まさに、2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会が行われている。と言っても、あとは決勝戦を残すのみではあるが。それにちなんで、今回は何本かのサッカー映画を。


まずは、選手自身を主人公にしたもの。


いかにもサッカー映画らしいと言えばいいか、選手のサクセスストーリーをストレートに描く「GOAL!」3部作。1作目「GOAL、2作目「GOAL!2」には、それぞれこの映画日記でも触れた。しかし、2007年に2作目が公開されて以後、3作目の公開についてまったく聞こえてこないので、いやな予感がしつつも調べてみたら、案の定、劇場公開されずに、DVDスルーとなっていた。3部作の3作目だけ劇場公開なしとは、なんと中途半端な…。


選手が主人公といっても、“6歳の少年がスウェーデン代表に選ばれる” という、奇想天外で、なおかつ、かわいらしい映画は、70年代のスウェーデン映画「サッカー小僧」。


メキシコの草サッカー青年がプロになるまでのストーリーに、ほろ苦い人生もプラスした、なりあがりラテン兄弟の映画は、ガエル・ガルシア・ベルナルディエゴ・ルナ主演の「ルド and クルシ」。


そして、今回のワールドカップ南アフリカ大会で、決勝への切符は逃したとはいえ、素晴らしい活躍を見せたドイツ代表(今回は3位)。そのドイツ代表が、まだ今ほど強いと思われていなかった頃の、実話をもとにした映画もある。戦後の厳しい状況の中で戦い抜き、まさに ”奇蹟” と言われる優勝を果たした西ドイツ代表(当時)を、元軍人の父を持つひとりの少年を主人公に据えて描いた、「ベルンの奇蹟」がそうだ。


選手を描いたドキュメンタリー映画もある。


ジダン 神が愛した男」は、2006年のワールドカップを最後に現役引退した、元フランス代表ジネディーヌ・ジダンの、当時の所属クラブ、レアル・マドリードにおける試合をおさめたドキュメンタリーである。


ちなみに、ドキュメンタリーでは、今回、アルゼンチン代表監督として再びワールドカップという舞台で注目を浴びた、“神の手”ディエゴ・マラドーナに、エミール・クストリッツァ監督が密着した「マラドーナ」もあるが、自分は未見。


サッカー選手自身でなく、サッカーをこよなく愛する人々を描いた映画にも、いい作品が多くある。


チベット仏教の寺院で修業中の、まだ10歳そこそこの少年が、1998年のワールドカップフランス大会決勝戦をどうしても見たくて、同じく修行中の仲間の少年たちとともに、テレビを借りようと奔走する姿を、とてもあたたかくほほえましく描いた、「ザ・カップ〜夢のアンテナ」。初のブータン制作映画でもあった(厳密にはブータン=オーストラリア合作)。


厳しい環境の中、自身の応援するクラブの試合のシーズンチケットを、なんとかして手に入れようと必死になるイギリスの少年たちの姿を描いたのは、「シーズンチケット」。


そして、その少年たちを更に上回る過激さの、とにかく “熱い” ことで有名なイギリスのフーリガンを、ひとりのアメリカ人青年の視点から描いた「フーリガン」もある。


変わり種としては、サッカーが大好きで、サッカーくじを買うのが趣味の男が、予想だにしなかった大金を当てるも、金を受け取った直後に勃発したハンガリー動乱に巻き込まれ、思わぬ方向へ人生が転がってゆく様を描いたハンガリー映画、「ウィニングチケット−遥かなるブダペスト−」がある。実話が元になっているという。ハンガリー動乱をおもに描いているため、必ずしも “サッカー映画” とは呼べないかもしれないが、しかし、ハンガリー代表が試合に勝つと、集合住宅の皆で喜び合う姿の描写など、とてもいいシーンだった。


ほかにもサッカーを描いた映画はあるが、この映画日記で触れたことのあるサッカー映画、見たことのある作品を中心にすると、ザッと思い浮かぶのは、このような作品群である。


選手を描いた作品も、サッカーを愛する人々を描いた作品も、サッカー好きが見ると、熱さ、共感、そして、様々な感慨を覚えずにはいられないだろう。






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