「レポゼッション・メン」 いろんな映画の断片が見える。

REPO MEN
2010 アメリカ=カナダ
監督:ミゲル・サポクニック
出演:ジュード・ロウ
    フォレスト・ウィテカー



近未来、人工臓器製造会社が、高額な“商品”のローンの支払いが滞った客から、人工臓器そのものを回収する。その回収人役がジュード・ロウ、という映画だが。


なんというか、いろんなSF映画がそこかしこに見える作品だった。ある種の型のようなものがあるジャンル、ということで言えば、SFというのは特にそうなのかもしれないが。


ある対象を追っていたはずの主人公が、自分の属する組織・その関係者の罠にはまり、反対に追われる立場となる展開は 「マイノリティ・リポート」 を思い出すし、漢字の看板など、アジア風を意識した街の描写は 「ブレードランナー」 系だ。ラストシーンは 「未来世紀ブラジル」 を彷彿とさせる。そういう意味では、あまり、新作という雰囲気がない。目新しいといえば、9歳の子供が闇医者だったことくらいだろうか。


比較的珍しい感じがするのはジュード・ロウのアクションシーンか。もっと穏便な侵入方法を考えろと言いたくなるほどの殺戮シーンがある(厳密には、そのシーンは劇中の“現実”ではないのだが)。確かに、ジュードのような俳優が見た目通りの二枚目役を演じるより、イメージの違う役を演じるほうが意外性があっていいが、「ロード・トゥ・パーディション」 での殺し屋役のほうが、脇役なわりに、もっと印象的だった気がしないでもない。


オランダ人女優のカリス・ファン・ハウテンが出ていたのがちょっと嬉しかった。それと、エンドロールもすべて終わったいちばん最後、劇中の人工臓器製造会社ユニオン社のロゴが大きく映し出され、支払いなき人工臓器は回収します、と書かれていたが、こういう遊びが好きだ。






10.7.28