第83回アカデミー賞 前夜
昨年度から、作品賞のノミネート数が10本にふえたアカデミー賞。現地2月27日、日本時間の明日28日には、結果がわかる。
10本のうちの大半がこれから公開される作品で、日本公開済みのものは、昨年中に公開された「インセプション」と「トイストーリー3」、年明け公開の「ソーシャル・ネットワーク」、そして、「英国王のスピーチ」が、昨日2月26日に公開になったばかりだ。
自分がこの中で見たのは、「インセプション」と「ソーシャル・ネットワーク」のみ。「英国王のスピーチ」も見る予定だが、いかんせん、公開されたばかりでまだ足を運べていない。
「インセプション」は、公開中、劇場に3度も見に行くほど惚れこんだ、素晴らしい作品なのだが、こと今回のアカデミー賞に関しては、“「英国王のスピーチ」と「ソーシャル・ネットワーク」の一騎打ち” という見方が大勢を占めるようだ。どちらも評価が高く、既に数々の賞を受賞しているが、このうち片方しか見ていない自分には予想しがたい。
「英国王のスピーチ」は、作品に申し分ないもののイギリス映画であるという点で不利なのでは、という見方もある。ただ、これでもし「英国王のスピーチ」が受賞すれば、日本での公開時期があまりにいいタイミングで、映画会社が手をたたいて喜びそうだ。
アカデミー賞は、とにかくその年その年の大きな流れのようなものがあるが、主演男優賞は、「英国王のスピーチ」のコリン・ファースに、もっともその流れがきているように思う。ほかの候補者より、オスカー像にいま一歩近いのではないだろうか。
主演女優賞は、どの候補者の作品も現時点で日本未公開なので、予想のしようがないが、今流れがきている、という点では、ナタリー・ポートマンかもしれない。
そして、昨年は女性監督の受賞で話題になった監督賞は、知名度・監督としての評価・映画界への貢献度などから言うと、「ソーシャル・ネットワーク」のデヴィッド・フィンチャーにもっとも票が集まりそうな気がする(コーエン兄弟は少し前に受賞したばかりだし)。
個人的には、「インセプション」のクリストファー・ノーランをなぜ候補に入れてくれなかった、と、非常に不満に思っているのだが(本当に、最初にザッと候補を目にした時には、見落としたのかと自分の目を疑った)。
「インセプション」は、これだけリメイクや原作ものがあふれ返る中、オリジナル脚本で、あれほど独創的な物語を語り、目を瞠るような映像世界をつくりだした、ということが、本当に素晴らしいと、実際にあの映画に魅せられてしまった観客として思うのだ。だから、監督賞では候補にすら入れてくれなかったのだから、脚本賞は「インセプション」にとってほしい、あの脚本の素晴らしさを評価してほしい、と、予想ではなく願っている、いち映画ファンとして。
_