「コズモポリス」 相性に問題あり

COSMOPOLIS

2012 フランス=カナダ

原作:ドン・デリーロ

監督・脚色:デヴィッド・クローネンバーグ

出演:ロバート・パティンソン

   ケヴィン・デュランド

   ジュリエット・ビノシュ

   サラ・ガドン

   マチュー・アマルリック

   サマンサ・モートン

   ポール・ジアマッティ

 

クローネンバーグ監督作品といえば、古いものでは、「ザ・フライ」(1986)をテレビで見たことがあるくらいで、昔はあまりなじみがなかったが、近年のものはどれも見てきた(興行的に失敗したと言われる「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」(2002)も見るには見た)。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005)も、「イースタン・プロミス」(2007)も、カンヌ映画祭60回記念オムニバス〈それぞれのシネマ〉(2007)中の3分間の短編も、「危険なメソッド」(2011)も、どれも興味深いものだった。だからこそ、今回の「コズモポリス」も見に行ったが。

 

こういうものはもう、作品と、観客である自分との、相性のよしあしとでも言うほかないのだろうか。

 

近年の作品がどれも興味深かったから、と見に行ったはいいが、今回の作品には、琴線にふれるものがまったくなかった。登場人物に魅力が感じられないし(ビノシュもアマルリックも、なぜこの役かと思うようなもったいない使われ方をしているし)、台詞も、どれもこれもどうしようもなく陳腐に思える。かと言って、クローネンバーグ作品がいつもそういうクオリティ、というわけでは もちろんないのだ。だから、なぜ今回急にこうなったのか、と。

 

原作小説があって、監督が脚色し、自己最短の6日間で脚本化した、という話だが、選んだ原作と監督との相性の問題なのだろうか。

 

 

2013/4/23