「リンカーン」

 Lincoln

2012 アメリカ

監督:スティーヴン・スピルバーグ

出演:ダニエル・デイ=ルイス

    サリー・フィールド

    トミー・リー・ジョーンズ

    デヴィッド・ストラザーン

    ジョゼフ・ゴードン=レヴィット

    ブルース・マクギル

    ジェームズ・スペイダー

    ハル・ホルブルック

    ジョン・ホークス

    ティム・ブレイク・ネルソン

    リー・ペイス

    マイケル・スタールバーグ

    ジャレッド・ハリス

    ジャッキー・アール・ヘイリー

第85回アカデミー賞 主演男優賞・美術賞 受賞

 

もう、それをこうして書くことも今更なのかもしれないが、ダニエル・デイ=ルイスという俳優は、いったいどうやってああいう演技を自らの内から生み出し、形にしているのかと、見るたび思う。

 

映画そのものは、非常に手堅いつくりという印象(鑑賞前から多少そういう話を耳にしてはいたが)。多くの映画ファンが思い浮かべるであろう “スピルバーグ的” なものよりも、ずいぶんと抑えた表現であると思われる。それによって、重厚感が増している。議会での議員らのやり取りや、政治的な駆け引きなどの部分の描き方も、さすが、そつなく知的な展開で興味深い。

 

ただひとつ心残りは、映画途中での居眠りである。いや、寝てはいない、と思っていた。意識が飛びかけた瞬間はあったものの、完全に寝てしまってはいない、と。自分ではそう思っていたのであるが、なにしろ、リンカーンのもっともよく知られた “あの演説” シーンというものに、まったく覚えがないのである。リンカーンを描くとなれば、十中八九、劇中に出てきそうなものであるが、なんせこの手堅いつくりの映画、スピルバーグが、あえてそこを はずしてきたりはしなかったのか、それとも自分の居眠りのせいで聞き逃してしまったのか。気になりはするが。

 

 

2013/5/7