「ジャッキー・コーガン」 言いたいことは別のところ
Killing Them Softly
2012 アメリカ
原作:ジョージ・V・ヒギンズ 『Cogan's Trade』
監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット
ジェームズ・ギャンドルフィーニ
ベン・メンデルソーン
スクート・マクネイリー
“ブラッド・ピットが殺し屋を演じている” ということ以外の情報を特に持たず、その手の映画(ギャング映画界隈)だと思って見に行ったら、思いのほか、言いたいことは別のところにある映画であった。アメリカ風刺の映画だ。
背景にずっと、テレビやラジオの音声が流れている、強盗中でも、バーで話している時でもなんでも。ニュース番組、政治討論、オバマ大統領就任当時の演説。そしてラスト。ブラッド・ピットの、あの台詞。
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アメリカ風刺以外の点で印象的なのは、まず、音の使い方。冒頭、登場人物が歩く様を捉える、その映像が切り替わるのに合わせて、音楽が鳴り、途切れ、鳴り、途切れる。また、強盗した二人組が逃げる時通る路地に聞こえる音(機械音や、水のしたたる音)の、意識的な使い方。雨音が音楽であるかのようなシーンもある。それでいて、音楽らしい音楽はほとんど流れない。
なおかつこの映画は、会話も特徴的である。終わりの見えない会話が、延々続く。この種の手法は、どちらかといえば、ヨーロッパの映画で多く見かけるという印象がある。唐突な終わり方も。そういう手法を、アメリカ映画で使い、ハリウッドの俳優が演じている、という点も面白かった。
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そういえば、ブラッド・ピット演じる殺し屋ジャッキー・コーガンは、劇中で一度も名を呼ばれていなかったような気がするが、なぜこういう邦題になったのかと思ったら(原題は “Killing Them Softly” )、なるほど、原作小説があるとのこと。
2013/5/8