「ローマでアモーレ」

To Rome with Love

2012 アメリカ=イタリア=スペイン

監督・脚本・出演:ウディ・アレン

出演:アレック・ボールドウィン

    ロベルト・ベニーニ

    ペネロペ・クルス

    ジュディ・デイヴィス

    ジェシー・アイゼンバーグ

    エレン・ペイジ

    グレタ・ガーウィグ

 

久々に、ウディ・アレン本人が主演。葬儀屋(=娘の結婚相手の父)と握手するシーンが好きだ(握手した直後に、葬儀屋から「きたない手ですみません」と言われ、葬儀屋が“きたない手”ということは、まさか… と言わんばかりに自分の手を見つめる)。ああいう細かいところが、いちいち面白い。

 

知り合った男性誰もが虜になる、という女性の役に、エレン・ペイジをキャスティングしたというのが、じつに巧い。たとえば仮に、本作に別の役で出演しているペネロペ・クルスをこの役に選ぶ、などというのは、比較的誰でも思いつきそうなものであるが、そんな役を、エレン・ペイジが演じた結果、どうだろう、あの説得力。一見それらしくない人がじつは、という効果が、最大限に発揮されたキャスティングである。ジェシー・アイゼンバーグの(「ソーシャル・ネットワーク」(2010)の時とはまた違った方向の)神経質そうな感じも絶妙(ちなみに、アイゼンバーグの役柄はボールドウィンの役柄の若き日、つまり二人は同一人物を演じているのかとも思ったが、はっきりとそれを示す描写はなく、しかし勝手にそう受け取っても構わないのだろうし そうでなくてもいいのだろう、という余白が残されている、ような気がした)。

 

コメディとしての面白さ、なるほどと思わせる説得力、粋な台詞、そのどれかに偏ることなく、どれもが1本の映画の中にある(コメディとしての面白さということで言えば、“舞台上でシャワーを浴びながら歌う” シーンが白眉である)。

 

 

2013/6/19