映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「恋人までの距離〈ディスタンス〉」「ビフォア・サンセット」 SUNRISE、SUNSET。

つい最近、「恋人までの距離〈ディスタンス〉」の9年ぶりの続編として公開された「ビフォア・サンセット」。


前作の、会話によって積み上げられてゆく世界がとても好きだった者としては、続きを待ちたくなるようなラストシーンでもあったし、「ビフォア・サンセット」はまさに、ようやく訪れた続編だった。


この続編は、前作が作られてからリアルタイムで経過した9年間がそのまま作品中に反映されている点も面白い。なおかつ、映画の中で流れる時間も、実際の時間とほぼ同じの85分間。キャストももちろん前作と同じイーサン・ホークジュリー・デルピー、演じる俳優も設定も、これまでの9年間を感じさせる。


とにかく会話劇として秀逸で、9年ぶりに会った2人が驚きや嬉しさ、かつての約束がフイになったこととそれがもし果たされていれば違う人生があったのではないかという複雑な思い、それらを言葉の端々ににじませながら、笑い合い、身振り手振りをまじえて話す様は、その流れも表情も、細かな立居振舞いひとつとっても実に自然で、まるで脚本のない会話のようだ。その中でも特に引き込まれてしまうのは、ラスト近く、別れる時間が近づくにつれ、ユーモアをまじえて話していたそれまでとはうってかわって、2人が本音をぶちまけ始めるところ。そこへ至るまでの会話の中に、9年分の隙間を埋めるために手探りしている、という雰囲気が巧みに散りばめられていただけに、その“本音”がよけい生きる。ラストシーンは、9年ぶりの再会を見守った観客に、ゆるやかな感慨をもたらす。


惜しむらくは、前作が原題で公開されなかったこと。原題のまま「BEFORE SUNRISE」だったら今作と一対になってきれいだったのに。続編が望めそうなラストだっただけに(しかも「BEFORE SUNSET」という言葉も容易に予測がついたのでは、と思えるだけに)、原題のままで公開されなかったことが非常に悔やまれる。






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