映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「メッセンジャー」

The Messenger

2009 アメリカ

監督:オーレン・ムーヴァーマン

出演:ベン・フォスター

   ウディ・ハレルソン

   サマンサ・モートン

   スティーブ・ブシェミ

   ジェナ・マローン

 

 アメリカ映画を見ていると、出征している兵士の家に、制服の軍人が訪ねてきて、その兵士の戦死を告げる、というシーンが描かれていることがある。そういう、制服姿で訪ねてきて戦死を告げる告知人を主人公にしたのが、この映画である。

 

そういえばこれまで、そうしたシーンを見ても、告知人について考えたことはほとんどなかった。どうしても、告知される側の人物のほうに、目も気持ちも引っ張られるからだ。

 

そういうシーンで、告知する軍人は、顔色も変えず、人の死を告げるには あまりと言えばあまりなまでに事務的に告げる姿で描かれているが、当然のことながら、その態度はすべて軍の規定によるものであることも、この映画には描かれている。これまで、脇役としてしか見たことのなかった告知人だが、主人公としてその苦しみを描いた映画は、知る限りで、この作品のほかにない。

 

告知人のウィルは、戦死により夫を失った女性オリヴィアを、告知する側とされる側という立場ではありつつも、いろいろと気に掛けるが(ウィルは、本来ならば 告知した家族の人生に踏み込むべきではない、と先輩から釘を刺されている)、互いに、いま一歩その先、それ以上に近づくことはない。そしてそのことが、もっとも身近な人間の死を体験したオリヴィアの心情を物語る。この点の描き方を変えれば、喪失感からの逃避を描くことはできようが、せっかく新しい視点の作品であるにも関わらず、映画としては平凡になるおそれがある。安易な展開にしなかったことが、この映画の優れた点のひとつである。

 

ところで、この作品で主人公の先輩である告知人を演じたウディ・ハレルソンは、第82回アカデミー賞(2010年/作品賞ノミネートが それまでの5本から10本になった年であり、「ハート・ロッカー」が作品賞を受賞した年)の助演男優賞にノミネートされていた。そう言われてみれば、近年、ウディ・ハレルソンがノミネートされていた年があったような、とおぼろげにも思い出したが、公開までに3年もあいたとは。

 

 

2013/3/12