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映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

千里セルシーシアター、閉館へ

今日、2014年8月31日、千里セルシーシアターが閉館した。

 

大阪は豊中市にある、千里セルシーというショッピングモールの地下1階にあった。新作の封切館ではなく、少し前の映画を通常より安価に見られる映画館で、数年前までは2本立て上映もしていた。100席に満たない、小さな映画館だった。閉館が発表されたのは、この7月のことである。

見逃した最近作がここで上映されるとわかるとよく見に行ったし、古い映画を見る機会もあって、1963年のルキノ・ヴィスコンティ監督作品「山猫」(実際に見たのは、1963年版ではなく2003年のイタリア語完全復元版:日本公開は2004年)や、「髪結いの亭主」の制作20周年記念デジタルリマスター版、昨年夏には、久しぶりの「グラン・ブルー」(上映されたのは2010年のデジタル・レストア・バージョン)、今年6月にはジャン=リュック・ゴダール監督作品「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」(既に見たことはあるが また見たかった)も見られた。

2本立て上映をまだしていた当時、香港の裏社会を描いた3部作「インファナル・アフェア」シリーズ(2002~2003年)が、3本立て上映されたことがある。一般1,300円(閉館までこの料金だったし、当時もたしかそうだったと思うのだが)のところ、この3本立ては、さすがに一般2,000円くらいに設定されていたのではなかったかと記憶しているが(それでも通常より安いが)、サービスデーにちょうど見に行くことができ、3本立てを1,000円の破格値で見た、ということがあった。その日は半日ずっとセルシーシアターにいて3本の映画を見たわけであり、自分が映画を見に行くようになった頃には、2本立て上映自体、しているところはほとんどなかったので、楽しかったし、この日のことは印象に残っている。

 

セルシーシアターで最後に映画を見たのは、閉館の1日前、8月30日だ。最後に上映されていた作品は「おじいちゃんの里帰り」「最強のふたり」「クリスマスのその夜に」で、この中でまだ見たことのなかった「おじいちゃんの里帰り」を見た。朝10:00からの回。閉館を惜しむ人がそれだけいるということだろう、満席ではないとはいえ、これまで見に行った中では、この日がもっとも多くの観客が入っていた。

上映が終わると、支配人だと思われる方が、「ありがとうございました」と、観客に挨拶に来た。何人かの観客が、今までありがとうございました、と答える。ひとりの観客が、「ありがとうございました、残念です」と直接話しかけると、支配人は、来て頂いてありがとうございました、と笑顔で応じながら、「我々も残念なんですが、技術革新に負けました」と答えていた。それが聞こえて、なんともいえず寂しくなった。

シネコンが悪いとは言わない。実際、シネコンにも行く。しかし、セルシーシアターのような映画館が閉館すれば、全映画館の中でシネコンの占める割合がどんどん増え、映画館というものの印象が、まるで統一されていってしまうかのように感じる。本当は、ミニシアターもあり、シネコンもあり、セルシーシアターのような映画館もあるのが、理想なのだが。

 

今年は、関西では、2月に梅田ガーデンシネマも閉館したが、同じビル内の下の階にあるシネ・リーブル梅田の一部として、シアター、設備は使われ続けている。思えば、ガーデンシネマの場合は、閉館といえども幸運なケースであった。千里セルシーシアターは、かんぜんになくなってしまうのだ。寂しくなる。

 

 

 

2014年8月31日