映画日記/記録

“Oh Captain, my Captain!” - 「いまを生きる」( Dead Poets Society / 1989 アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー )

「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女」 解毒されたファンタジー。

THE CHRONICLES OF NARNIA : THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE
2005 アメリカ
監督:アンドリュー・アダムソン



ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」等のヒットで、最近すっかりおなじみの大作ファンタジー。新しくシリーズものに仲間入りの「ナルニア国物語」を、先行上映のレイトショーで見た。


指輪物語』とともに英国産ファンタジーの双璧をなす同名小説が原作(作者同士も友人であったとか)。


ニュージーランドの自然に(プラハなどでの撮影もあったらしいが)、魔女や半人半獣の登場人物、加えて美術等をLOTRシリーズと同じスタッフが手がけているとなれば、いやがおうにも、ついついLOTRと比較しながら見てしまうことに。


主人公兄弟らがナルニアに足を踏み入れたその時、雪景色は美しく、アスランに初めて会う際の野営のシーンは壮観、春の早緑に映える。戦闘のシーンも大掛かりだ。


映像は美しく、現実世界から少し踏み出した所に異世界があるという設定はLOTRとはひと味違うところだが、どうもなんというか、手に汗握る感覚がない。


これくらいの規模の大作になれば、それこそストーリーの起伏や映像の迫力を味わって手に汗握る展開を見たいところが、かなりの大スクリーンの劇場で見たにも関わらず、最後までサラッと冷静に見終えてしまう。LOTRシリーズを見た時のような映画的興奮が感じられない。


最近のファンタジー流行りですっかり見慣れてしまったからかとも思ったが、LOTRは3作目でもハマるほど、やっぱり面白かった。


出演者で考えると、LOTRの方も、世間での知名度はまぁ別としても、イライジャ・ウッドイアン・マッケランなど、映画ファンとしては渋めでいい配役だと思ったし、ヴィゴ・モーテンセンオーランド・ブルームなど、あの作品で一気に知名度を高めた俳優も多く、それもなにより出演者それぞれに見せ場があり演技が際立っていてこそだった。


かたやナルニアは、主人公兄弟がほとんど新人というのはいいとしても(作者の遺族側からなるべく一族の人間に似た印象の子を選んでほしいと言われたため、とチラッと聞いたけど真相はどうなんだろう)、脇を固めるベテラン俳優の少なさが若干寂しい。
教授役でジム・ブロードベントが出ているものの出演シーンも少なく、あのヒゲじゃ名前を見るまで本人だと気づかれないんじゃないかと思うくらいだし。あとは魔女役のティルダ・スウィントンしか、ベテランの目立った出演がない。
                  

そういうところもサラッと見終わってしまった理由かと思ったが、いちばんの理由は、つまるところ、“ディズニーかピーター・ジャクソンか”の差だ、と思い至った。


なんといってもいちばんの違いはそこだった。


子供でも見られるよう、たとえ大掛かりでもグロテスクさは微塵も見せないナルニアの戦闘シーン。まさに年齢制限のかからない“ディズニー印”。
LOTRでは、闇の世界で蠢く存在や仲間の死、いつまでも消えずに残る傷やものごとの終焉まで描き、ファンタジーでありながらも、単なる冒険ものより一歩踏み込んだ出来上がりだった。


結局、ピーター・ジャクソンが見せた混沌に対しての、無菌で清新、朗らかな“ディズニー印”に、見てるこっちまで滅菌されてしまった。


そういえば甲冑や武器なども、LOTRではいい意味で手で作られた感じが残っていて、多くのニュージーランド市民がそれらの作成やエキストラとしても参加したという点で、まるで大規模な家内制手工業という雰囲気がよかったのに対し、ナルニアでは、同じスタッフだというわりにそういう趣きも感じられない。あれがよかったのに。


イギリスの名だたる俳優が大挙出演しているにも関わらず、どうしても子供向け感の強いハリー・ポッターシリーズ(でも俳優陣につられて見てしまう)。一方、ナルニアの毒気のなさは、いうなればディズニー制作の宿命か。


ライオンのアスラン、やたらと渋い声で話すと思ったら、リーアム・ニーソンの吹替えだった。


ちなみに、ナルニア絡みの話では、次男役の男の子が、あの進化論のダーウィンの末裔(!)らしく、映画以上に驚いた。






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