「イノセント・ガーデン」 目覚める

Stoker

2013 アメリカ=イギリス

監督:パク・チャヌク

脚本:ウェントワース・ミラー

出演:ミア・ワシコウスカ

    ニコール・キッドマン

    マシュー・グッド

    ダーモット・マローニー

    ジャッキー・ウィーヴァー

目をひくような美しさや、観客の脳裡に残る“異物感”、事物をより印象的に映し出す効果を考えた結果、主人公の神経質さをも表している映像(並べられた靴や鉛筆、蜘蛛という異物侵入のイメージ など)。台詞でなく、映像で、主人公の人物像や気質を物語る(顔を合わせたくない人物を避けるために、いったん庭へ出て回り込んだり、花を描く時、花瓶の内側の模様までをも描きつける、地下室へ降りると、毎回儀式のように電灯を揺らす など)。そして、その映像に、ある種のグロテスクさによって、微かに不気味さをかもしだす効果音が付け加えられる。

 

映像美と人物描写が両立されている。 

 

神経質で、打ち解けず、鋭くて、痛々しい。ミア・ワシコウスカは、そういう十代の役柄がよく似合う(実際には二十歳をこえているにも関わらず)。この作品のように鋭利な印象の役ではないものの、「永遠の僕たち」(2011)でも繊細な十代を演じていたが、こちらでは、あの作品のように、見ていて気恥ずかしくなることはない(「永遠の僕たち」を見て “気恥ずかしい” というのは、あの作品がダメだという意味ではない。“繊細な十代” があまりに初々しく描かれているため、十代の感覚を失った大人が見ると、あまりに輝いていて気恥ずかしいのである。十代をとうに過ぎた映画人たちが、あそこまで十代の感覚を表現しているわけだから、さすがプロ、と思ったものだ)。

 

この「イノセント・ガーデン」の脚本は、ドラマ『プリズン・ブレイク』で知られる俳優、ウェントワース・ミラーである。眠っていた、あるいは抑えていた性質を覚醒させる物語というのは、珍しくはないのかもしれないが、細部が印象的。今後も脚本を書くことがあるのなら、それらも見てみたい。

 

 

2013/6/9