「サージェント・ペッパー ぼくの友だち」
SERGEANT PEPPER
2004ドイツ
監督:サンドラ・ネットルベック
出演:ニール・レナート・トーマス
クレオ(犬)
ドイツの児童文学を映画化した「サージェント・ペッパー ぼくの友だち」。児童文学が原作なだけあって、犬が喋り、子供らが大活躍し、お父さんは発明家だ。
最近の作品で児童文学を映画化したもの、といえば、思い出すのは昨年公開されたフィンランド映画「ヘイフラワーとキルトシュー」。しかしこれは、いつもガマンの“いい子”の姉と、傍若無人なまでに自由にふるまう妹、という構図に、型にはまりすぎという感じが強かった(逆でもいいやんか、と思う)。あまりに決まりきったパターンの設定に、ちょっとげんなりした。
一方この「サージェント・ペッパー〜」は、喋る動物が少年と仲良くなる、というストーリー自体は確かに数々の児童文学やファミリー向け映画を踏襲しているといえるだろうが、面白いのは人間の大人になりたくないばっかりに毎日トラの着ぐるみを着ていて妙なヤツだと思われ、まったく友達のできない少年、という設定。共感を呼ぶのかなんなのか、これがまた案外ストレートに楽しめる。まのぬけた感じの顔をしたトラの着ぐるみを着て、ヨタヨタ歩く姿が愛らしい。
少年の母親役の女優が、ゲイリー・オールドマンがベートーヴェンを演じた「不滅の恋」に出ていた人ではないかと ふと思う。イギリス映画で英語作品だったがベートーヴェンを描いているだけにドイツが舞台、ドイツの女優が出ているのも自然なことだろう。こういう、あぁあの映画の人、というちょっとした発見も面白い。
エンドロールで流れる曲を主人公フェリックスと犬のペッパーが歌っているという趣向もまたよし。
06.7.5