「テネイシャスD 運命のピックをさがせ!」

TENACIOUS D IN THE PICK OF DESTINY
2006 アメリカ
監督:リアム・リンチ
脚本:ジャック・ブラック/カイル・ガス/リアム・リンチ
出演:ジャック・ブラック
    カイル・ガス



それにしても。ジャック・ブラック映画のバカバカしさと面白さの両立はなんなんだろう。


たいがい下品なのに、見てるこっちはその下品さに辟易するわけでもなく、むしろ下品だと言いながらゲラゲラ笑ってしまう。あの妙に愛敬ある外見も手伝ってか、下品でも屈託なく見られて笑えるところがジャック・ブラックコメディのいいところだ。本当に、かなり下品なのだが。


オープニングや話の転換点で、主人公の2人を中世風に描いた絵のついたタロットカードが画面に現れるが、その 無駄に洒落た演出が好きだ。運命のピックは “悪魔のピック” なのだが、“そういう伝説”、という設定だと思って見てたら、最後の最後に真っ赤な悪魔が2人の前に立ちはだかるシーンは、なんやねんこの展開、と呆れつつ大笑い。悪魔の法典に“ロック対決の申し込みは受けるべし”と書いてあったり、悪魔がめちゃくちゃ演奏うまかったり、もはや何でもあり。ここまで何でもありだと、いっそすがすがしい。ほかの映画を見る時には少なからず考えているはずのリアリティなどということも、どうでもよくなる。下品でも面白きゃいい、という気分になる。


製作総指揮に名を連ねるベン・スティラーが怪しげなギター屋店員役で出演しているが、さらに意外なのは、ピックを狙う謎の男役のティム・ロビンス。これがまた意外なほど笑いどころありで、ティム・ロビンスがオスカー俳優であることは、見てる間はとりあえず忘れる。


ロックに詳しくなくてもじゅうぶん笑えるし楽しめる映画だ。下品だが。






08.8.6