「ブロークン」
THE BROKEN
2008 イギリス=フランス
監督:ショーン・エリス
出演:レナ・ヘディ
リチャード・ジェンキンス
メルヴィル・プポー
なんというか、“雰囲気先行型” だ。
もともと写真家であるという監督、ショーン・エリス。映像の “サスペンス的”な美しさは いかにもだし、不穏な音楽もまた いかにもだ。
しかし、煽る要素がそれなりにあるわりに、この映画の中で起こる出来事と結末には、意外なほど目新しさがない。
そもそも、主人公が不安を抱く出来事が起こった理由が描かれない。理由が明確にされることを求めるな、という映画なのか。 唯一、冒頭で 部屋の大きな鏡が割れた時、『鏡が割れると7年間不幸が続く』 という迷信を登場人物が口にするが、まさかこの迷信が理由、というのだとしたら、いくらなんでも。理由を明確にせずに、不安感を より浮き彫りにすることこそが意図、というのかもしれないが。
ラストの展開にも、決して目新しさはない。と言って、なにも必ずしも新しいことをしなければならないというわけではないが、映像の美しさと音楽があんまりにも “サスペンス的な雰囲気” を盛り上げてしまうため、そのぶんどうしても、上に書いたような印象になってしまうのだ。
主演は、「300〈スリー・ハンドレッド〉」でのスパルタの王妃役などがあるレナ・ヘディ。
08.12.24