「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」
REVOLUTIONARY ROAD
2008 アメリカ=イギリス
監督:サム・メンデス
出演:レオナルド・ディカプリオ
ケイト・ウィンスレット
キャシー・ベイツ
マイケル・シャノン ほか
レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレットの「タイタニック」コンビの再びの顔合せと、ケイトの、この作品と「愛を読むひと」でのゴールデン・グローブ賞の主演・助演ダブル受賞で注目された「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」。
最初は、笑って見ていた。こんな理由の夫婦ゲンカも、こんな感じの夫婦ゲンカも本当にありそうで、とてもリアリティがある、と。こんなにリアリティのある描き方をするその目線というのも、かなり皮肉な見方だと。しかしそれが、どんどん笑えなくなってゆく。
家も、子供のいる家庭も手に入れた。それでももういちど、もっと自らの本当に思い描く人生をやり直したいと、新たな望みをいだいた途端、見る間に二人はすれ違い、望んだ人生は遠のく。
人生の選択を迫られ、二度と取り返しのつかない結果が訪れるころ。最初は笑って見ていたこの映画に涙がでた。
ラスト、あのディカプリオのシーンで映画が終わっていれば、いくらか感傷的な印象が残ったと思う。しかし、まるで世間話をするようにあれこれと、悲しい運命を辿った二人のことを語る、キャシー・ベイツ演じる女性と、それをただ黙って見ているだけのその夫、というラストシーン。妙に現実味のあるように思えるあのシーンが、ふとした薄気味の悪さと、監督サム・メンデスの才覚と冷静さを感じさせる。
ケイトの演技が素晴しい。一見 “普通の主婦”でありながら、苦しみ追いつめられるその姿が胸に迫る。ディカプリオも、ヒーローではなく、会社勤めで家庭問題に悩む夫という役どころが、意外なほどはまっていた。
トーマス・ニューマンの音楽が、とても哀切だった。
09.2.12