「扉をたたく人」
これまで名脇役として映画に出演してきたリチャード・ジェンキンス初の主演作であり、初主演でアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品である。
たとえば、「バーン・アフター・リーディング」のようなコメディ作品では、非常に紳士的な人物を演じたこの「扉をたたく人」での重厚な演技は影を潜め、おろおろと困る姿に軽みと哀愁を滲ませる。父親の役でも、上司の役でも、コメディでもドラマでも。たやすく演じ分ける。“ハデな主役タイプではない”というのは、様々なタイプの人物を演じることができるからこそ。わかりやすいヒーローではなく、脇役を多く演じることになるリチャード・ジェンキンスのような俳優に対しては、もはや褒め言葉であろう。
劇中に出てくる言葉 ハビティ は、“いとしい人”の意。
2009.8.5