「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」

劇中に、“カナダの月の神話”として出てくる話(カナダに実際に伝わっているものか、完全オリジナルなのかは不明)。


『月が孤独なのは、恋人を失ったから。恋人は、クエクワツーという精霊。毎晩、夜空を散歩したふたり。トリックスターという精霊が嫉妬し、月を奪おうとクエクワツーをだました。月のために人間の世界のバラをとってこい、と。でも、人間の世界に入った精霊はもとには戻れない。毎晩月を見て名前を呼ぶが、月に触ることのできないクエクワツー ―クエクワツーの別名は、ウルヴァリン


体内にアダマンチウムを入れる実験台となり、文字通り生まれ変わったウルヴァリンが、もはや恋人のもとに戻れなくなる姿を重ね合わせているわけだが、それにしても、アメコミが原作のアクション映画に、なんとまたロマンチックな神話が登場したことか。


ウルヴァリンと名乗り始めるきっかけも、この作品中に描かれる。 子供の頃の名:ジェームズ→いつのまにかローガン→(だまされて)アダマンチウムを入れる前、ローガンと刻まれた認識票を渡された時に、「新しい名を。ウルヴァリンだ」と自ら言う。


ケイラ役のリン・コリンズは、アル・パチーノ主演「ベニスの商人」に出演していた。言われないと同じ人物だとは気づかないほどガラッと雰囲気を変えているあたりはさすがプロ(当たり前なのだが)。兄セイバートゥース(=この名は劇中では特に出てこない)役はリーヴ・シュレイバー、リーヴがあんな激しい役なのは珍しい。






2009.9.23/10.7