「命をつなぐバイオリン」

Wunderkinder
2011 ドイツ
監督:マルクス・O・ローゼンミュラー
出演:エリン・コレフ
   イーモゲン・ブレル
   マティルダ・アダミック

 

驚異的な演奏能力で “神童” と呼ばれたユダヤ人の少年少女と、そのふたりと友達になったドイツ人少女の物語であり、長い年月を経てからの回想として語られる。その設定だけで、時代背景はすぐに察せられるであろう。ナチスが台頭した時代。ユダヤ人の少年少女の人生は一変させられるのである。

 

押し寄せる運命の波に抗えず、肉親が収容所へ送られるに至って、“総統が観覧する演奏会で完璧な演奏をすれば、命は助ける” と、ただ一度の演奏に、文字通り、命をかけろという宣告が下される。

 

命とひきかえの要求をされるという点では、近年の、「ヒトラーの贋札」などの作品からの流れが感じられる。子役の生き生きした演技が素晴らしく、それゆえ、ラストはあまりにも非情で、悲痛である。

 

 

2013/3/5