「小早川家の秋」
特集上映〈生誕110年・没後50年記念 巨匠・小津安二郎の世界〉
小早川家の秋(こはやがわけのあき)
1961 日本
カラー/103分
監督・脚本:小津安二郎
脚本:野田高梧
出演:中村鴈治郎
京都は伏見、造り酒屋が舞台である。作品を見ずにタイトルだけ読むと、〈こばやかわ〉と言ってしまいそうになるが、劇中では、〈こはやがわ〉と発音している。関西弁の軽妙なやり取りが、じつに面白い。
笠智衆は、漁師役にて、短時間の出演ながら、“死んでも死んでもあとからあとからせんぐりせんぐり生まれてくるわ” と、造り酒屋の主人の死が描かれている本作の、底を貫く重要な台詞を呟く。“よう出来とるなあ”、と妻。
橋を渡る喪服の人々、葬送の列。粛々と進んでゆく人々をとらえたそのシーンの映像が、なぜか不意にヨーロッパ映画的なものに思えた。
2013/7/14