「もうひとりのシェイクスピア」
Anonymous
2011 英=独
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:リス・エヴァンス
ヴァネッサ・レッドグレイヴ
ジョエリー・リチャードソン
最初の驚きはまず、この題材で、監督がローランド・エメリッヒであることだった。
ローランド・エメリッヒといえば、「インデペンデンス・デイ」であり、「GODZILLA」である。また、「デイ・アフター・トゥモロー」であり、「2012」である。一言でいえば、人類滅亡の危機専門みたいな監督である。「もうひとりのシェイクスピア」というタイトルを見て、誰がローランド・エメリッヒの名を思い浮かべようか。
そして、もうひとつの驚き。ローランド・エメリッヒが監督した映画を、こんなに面白いと思ったのは初めてだった。
本作の脚本は、ローランド・エメリッヒが手掛けたものではない。自身の、人類滅亡の危機映画ではその多くを脚本も書いているようだが、この作品は違う。こういう言い方ばかりしていては、さすがにそろそろ失礼か。しかしとにかく、“シェイクスピア別人説”を題材としたこの作品は、ストーリーもさることながら、映像の美しさにも見応えがあり、最後まで興味をひかれ続けた。風変わりな役の多いリス・エヴァンスが伯爵役だったり、ヴァネッサ・レッドグレイヴがエリザベス1世役だったりと、キャスティングもいい(ちなみに、若き日のエリザベス1世を演じたのは、ヴァネッサ・レッドグレイヴの娘であるジョエリー・リチャードソン)。
シェイクスピア劇で数多の舞台に立っているというデレク・ジャコビが、現代の舞台に立って語り始め、そのうち、シェイクスピアの時代へ場面転換がなされるという演出も粋だった。
しつこいようだが、この監督の映画を、こんなにも面白いと思ったのは初めてだ。やれば出来る子、ローランド・エメリッヒ。
2013/1/17