「鳩の翼」 ‐クリムト美術館になった「鳩の翼」。

映画の中に出てきた物や絵が、印象に残ることがある。


子供のころ、近くのとある建物にクリムトの『接吻』の複製が掛けてあった。その当時、あんまりしょっちゅう何遍も見るので、内心、これにはもう飽きた、と思っていた。


数年前見た「鳩の翼」に、登場人物が美術館にクリムトの絵を見に行くシーンがある。


映画のストーリーの中、登場人物・その人物たちの会話・静かな美術館内、それらを織り交ぜて、スクリーンを通してクリムトを見たことが、それまでに見たことのあるクリムト作品の写真や映像とは、違う視点で見る形となった。


そう長いシーンでもなかったように思う。 ただ、クリムトを見る新しい視点を得た。


去年、ちょうど美術館でクリムトの展示があり、本物を見たくて行った。日本で規模の大きいクリムト展は今までほとんどなかったというので、ぜひ見てみたいと思った。


様々な絵を見る毎に思うことは異なるが、それまで美術館で絵を見た時に味わったことのある感覚とはまた違い、なぜかドキドキした。『パラス・アテナ』と『エミーリエ・フレーゲの肖像』に見惚れた。


ちなみに、クリムトとエミーリエ・フレーゲの実際に使っていた物、集めていた物やデザインした衣装などの展示もあり、中に東洋的なものもあって興味深かった。


そして素描のあまりの美しさにノックアウトされたのだった。






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