「ハイジ」 物語を読むような。

HEIDI
2005イギリス
監督:ポール・マーカス
出演:エマ・ボルジャー
    マックス・フォン・シドー



ヨハンナ・シュピリの物語が原作の「ハイジ」。


ハイジを演じるのは、ジム・シェリダン監督作品「イン・アメリカ 3つのちいさな願いごと」に出ていたエマ・ボルジャー、ハイジのおじいさんを演じるのは、あの名優マックス・フォン・シドーだ。


ヨーロッパ独特の風景に、時代設定を細やかに表現した衣装や生活の描き方は、かつてよく見た映画を思いだして懐かしい。


映画に興味を持ち始める大きなきっかけになったのはヨーロッパ映画で、最初の頃よく見た映画には、すこし昔の時代を丁寧に描いたものが何本かあった。原作小説があるものだったり、文部省選定と書いてあるようなやつだ。アメリカ映画のような過激さはなく、物語に重点を置いたつくりが好きだった。


そんな映画をよく見た頃を思いだす。「ハイジ」にも出ているマックス・フォン・シドーを「ペレ」で初めて見たのもその頃だった。


「ハイジ」では、登場人物それぞれの立場に対して観る者が持ち得るイメージを、それぞれの人物がよく体現している。


クララの世話役の厳しい女性を演じるのはジェラルディン・チャップリン(喜劇王の実の娘だ)。ハイジがもらってきた子猫の大群に卒倒するシーンが楽しい。


マックス・フォン・シドーの偏屈で頑固なおじいさん役、そもそもそのマックス・フォン・シドーが出ていると知って「ハイジ」を見に行ったのだった。



映画をよく見るようになった頃、こんな映画が好きだった。いろんなことを思いだす。かつてよく見た映画も、「ハイジ」もそう、分析も読解も意識せず、ただその美しい映像と描写にひきつけられた。物語を読むような映画だった。






06.8.9