「狩人と犬,最後の旅」

LE DERNIER TRAPPEUR / THE LAST TRAPPER
2004 仏=カナダ=独=スイス=伊
監督・脚本:ニコラス・ヴァニエ
出演:ノーマン・ウィンター
    メイ・ルー
    アパッシュならびに犬ぞりのメンバー



半世紀に渡ってロッキー山脈で狩人として生きてきたノーマン・ウィンターの暮しを、ドキュメンタリーでなく劇映画として撮った「狩人と犬,最後の旅」。監督はフランスで有名な冒険家だそうだ。ノーマン・ウィンターが自身を演じる。


ノーマン・ウィンターは“トラッパー”、つまり銃でなく罠で獲物をとる狩人だ。雪の中では犬ぞりを操り、雪のない季節には、川をゆくためのカヌーの手入れをし、小屋も自らの手ですべてつくる。小屋をつくるその手際と技術は、目をみはるほど素晴しい。


しかし、もともと住んでいたのと違う場所に小屋をつくり直すことになったのも、開発や伐採によってロッキーの動物が激減し、罠道を移す必要に迫られたためだ。壊れゆく自然を憂い、ロッキーを去る決意をしたウィンターによって、狩人は増えすぎた動物の数を調整し、生態系を保つ役割を担っていることも語られる。


彼らは獲物の皮も肉も、一切無駄にしない。限りなく無駄をだし続ける都会の人間は、意識せず間接的に手を下す分、より残酷だ。


雄大なロッキーの自然や、そこにいる動物は、ちょうど最近見た星野道夫のアラスカの写真、地理的にも近いアラスカの自然と重なった。






06.8.30