「夜顔」 会話こそがすべて。

BELLE TOUJOURS
2006 ポルトガル=フランス
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ミシェル・ピコリ
    ビュル・オジエ



ルイス・ブニュエルジャン=クロード・カリエールにささぐ”


ルイス・ブニュエルの「昼顔」のその後の物語として、マノエル・ド・オリヴェイラ監督が撮った「夜顔」。なんといってもミシェル・ピコリがこの上なく素晴しい。ハリウッド映画に多々見られる、定型とも言うべきパターンや起承転結を無視した、オリヴェイラ監督独自の自由な流れも好きだ。


ミシェル・ピコリ演じる男性とバーテンダーの会話が長く続くシーンも、ピコリの魅力的な表情や台詞回しによって、いつまでも見ていられる。


再会したピコリとビュル・オジエ(「昼顔」ではカトリーヌ・ドヌーヴ)がレストランで話すシーンでも、型にはまっていないから、どんな展開になるのかとドキドキしながら行方を見守る。先に着いて部屋に通されたピコリが、部屋の灯やろうそく、料理のことなどでウェイターと話すシーンは、果たして台本があったのだろうかと思うくらいだ。“台詞”ではなく、“会話”を聞いているかのよう。


少しの間、味わい深い会話にじっくり耳を傾け、あるいは予期せぬ展開の会話に耳をそばだてる。会話の映画であり、過去と現在をつなぐ映画。


オリヴェイラ監督が映画を撮り続けてくれることも嬉しい。






08.1.23