衣装デザイナー石岡瑛子を取り上げたドキュメンタリー番組

2011.2.14放送
NHK 「プロフェッショナル 仕事の流儀
石岡瑛子の回


ブロードウェイのミュージカル版『スパイダーマン』の衣装を担当する。音楽はU2、演出はジュリー・テイモア。その衣装の制作風景と、これまでの歩みの紹介(ちなみに石岡さんは、ペンギンが好きらしい)。


セントラルパークを見おろす高層ビルの70階が自宅兼アトリエ。オスカー受賞作である『ドラキュラ』の映像が流れる。


Original 誰にもまねできない
Revolutionary 革命的
Timeless 時代を超える
(新しい仕事の時、いつも心の中で唱える3つの言葉)


デザインする時は、 「これじゃないとダメ」 という色鉛筆を、20年に渡って愛用しているという。筆触がクレヨンに近いらしい(デザイン画を描く時は、「子供がお絵描きしてる時のように楽しい」、と)。
(関係ないが、机に置いてあった2010年(取材時)の手帳が無印良品っぽかった。)


仕事でなかなか時間が取れないものの、自然史博物館を散歩するのがお好きらしい。


デザインだけでなく、工房で、素材選びから縫製の仕方まで細かく指示。1ミリの差をも突き詰める。曰く、「舞台なんだからディテールなんて何も見えないだろう、と言う人は、何も見えない人」。


初めは、広告デザインの道に進んだ。しゃにむに働き、革新的な作品を発表するも、本人曰く「抜き差しならないスランプ」状態(仕事をしてもしても充実感がない)となり、40歳の時、事務所を閉め、ニューヨークへ。いろいろなものを見てまわり、そんな中、小さな映画館で黒澤明の『七人の侍』を見る。終わると、観客が口々に黒澤のことを語る光景に驚いた。そして、古い作品でも、本当に突き詰められたものは時代を超える、と思ったという。


アメリカではまったく無名、コネもない状態。しかしちょうど、日本での石岡の広告デザインの仕事をまとめた本が出版され、その本に、映画監督で脚本家のポール・シュレーダーが目を留める。三島をテーマにした作品を作るので、舞台美術を担当してほしい、と依頼される。映画の世界のことは何もわからない、と戸惑ったが、監督から、私はあなたのデザインに惚れた、経験はこれから積んでいけばいい、という意味の言葉をかけられて後押しされ、依頼を受ける。その映画はカンヌで芸術貢献賞を受賞。それによって、石岡は映画界で認められることとなった。


番組後半は、ブロードウェイ版『スパイダーマン』の衣装制作風景、リハーサル風景、フィッティング風景。細かい点にも決して妥協せず、1ミリをも曖昧にしない、徹底した仕事ぶりが紹介される。いいものを作れば、観客が認めてくれるだけでなく、パフォーマーにとっても、よりいいパフォーマンスをする助けとなる、という考え方。観客に中途半端なものは見せない、という気概が伝わってくる。






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