映画と2009年

毎年、秘かに考えている、その年に見た映画で、もっともよかった作品。昨年に引き続き、今年もまた思うようにはなかなか見に行けなかったものの、その少ない本数の中から、なぜか選んだのは15本もあるわけだが(思えば数年前にも、10本では飽き足らず、15本ほど選んでいる年がある)。1本、または数本だけが突出している、という感じではなかったためだ。それは、捨て難い、これも “自分にとっての今年の映画” に加えたい、というものが、見た本数のわりには多かったとも言える。その時によって、これらの1〜15が入れ替わる気もする。特に印象的、ということで選んだもので、順番は便宜上のものだ。


今年に限ったことではないが、しかし今年もまた、多くの人が去った。映画が本業の人物ではないが、誰もが知る知名度と、その後公開されたドキュメンタリー映画のヒットということで名をここに挙げるが、マイケル・ジャクソンの死は、多くの人にとって、いまだ記憶に新しいだろう。パトリック・スウェイジデヴィッド・キャラダインファラ・フォーセットらベテランもまた去った。年の暮れも押し迫ってからは、まだ若いブリタニー・マーフィの訃報も伝えられた。そして、俳優に限らず、映画界に多大な功績を残した人物の死としては、作曲家モーリス・ジャールの死もまた、今年であった。モーリス・ジャールは、昨年、大阪ヨーロッパ映画祭の名誉委員長として、来日・来阪している。決して体調の思わしくない中、自身が作曲した「アラビアのロレンス」のニュープリント版、その日本での初上映となった映画祭のため来日、上映時には登壇して、舞台挨拶やディスカッションに臨まれた。亡くなったのはその数ヶ月後のことである。「アラビアのロレンス」ニュープリント版を見るため映画祭へ赴いたあの日が、モーリス・ジャールの登壇する姿を最初で最後に見たあの日が思い出される。


この映画日記はと言えば、遅々として進まず… 2006年から、約1年半に渡って更新しなかったこの映画日記を、昨年再開したはいいが、今年は昨年に比べるとなかなか更新できず、書き残しておきたかったのに書けなかった映画が、数々ある。とは言え、これまでも、公開されたばかりの新作についてのみ書いている訳ではなく、以前の作品についても書いてきているので、年明け以降になるとは言うものの、以前の作品の中からも、これはというものは書き残していきたいと思う。もともと、せっかく見た映画を、忘れてしまわずに留めておきたい、という目的で始めたものであるからには。


2010年は、どうにかして、今年より もっと、もっと映画を見たいのだが。




2009年12月31日



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