「パリところどころ」 ストーリーのメモ
〈オムニバス〉
Paris vu par…
1965 フランス
12.3〜7 京都みなみ会館/12.23・24 神戸アートビレッジセンター
12月末で配給期限切れ、京都・神戸・名古屋で最終上映
1.RUE SAINT DENIS
サン・ドニ街/監督:ジャン=ダニエル・ポレ
娼婦と、おどおどした若い男・レストランの皿洗いのレオン。話したり、食事したりと、一向にことに及ばない。いざとなるとなかなか思い切れず、会話を続けようとする男。ラジオからはサッカー中継。ようやくことに至ろうとすると停電に。
2.GARE DU NORD
北駅/監督:ジャン・ルーシュ
うるさい工事現場のそばのアパート。ジャン=ピエールとオディル夫妻。工事が終わって建物が出来上がればサクレクールもエッフェル塔も見えなくなる、こんな家買わなければ車が買えた、とボヤく妻。北駅の工事のせいで軽い口論の朝食。
やがて工事についての話から、夫婦間のこと、幸せについての話、仕事の話へ。いよいよ激しくなるケンカ、「半年後には真っ暗」と、また工事の不満へ堂々めぐり。
ケンカしたまま家を出ての通勤途中、まるで自分の望み―旅行、オートゥイユに住みたい、金、家―をすべて体現するような男に出会うオディル。思わぬ会話。心が動くが思いとどまる。「今朝自殺を決意したが、あなたに出会い、人生に未練が。いっしょに来て受け入れてください」と言う男。「無理よ」と答えると、男は死を選んだ―飛び降り、線路によこたわる。橋の上でくずおれるオディルの姿。
3.SAINT GERMAIN DES PRES
サンジェルマン・デ・プレ/監督:ジャン・ドゥーシェ
男の声でナレーションが入る。サンジェルマンの知的環境を話し、カフェで出会った2人―アメリカ人女学生カトリーヌと、ジャンの話へ。2人は灰色のベントレーで… 2人のなりゆきを話す声(合い間に女性の声。“ジャン=ポール・サルトル、ウジェーヌ・ドラクロワ、ジャン・ラシーヌ…”)
そして、カトリーヌとジャン、2人の映像へ。空港へ行く準備をするジャン。まだ起きださないカトリーヌを追い払いたい。メキシコ大使である父のもとへ3週間行くとジャンが言い出しケンカ別れ。翌日、美術学院に向かうカトリーヌ。言い寄ってくる男を無視して教室へ行くと、ジャンが絵のモデルをしている。飛び出し、ヤケになって、言い寄ってきた男の車に乗り、家へ行くと、それはジャンと同じ家で、同じくメキシコ大使が父で、昨日パリに戻り、3週間でまたメキシコへ行くと言う。
「モデルの友達いる?」「会ったことある程度」「さっきのモデルは?」「哀れなヤツだ、留守の時は部屋と車を使わせてる」「最悪ね」「だけど生きるのは大変だ」…
美術学院に戻ってみると、別の女と歩くジャンの姿。
4.PLACE DE L'ETOILE
エトワール広場/監督:エリック・ロメール
凱旋門、広場に集まる人々、通り過ぎる人々、周囲の街の様子。1964年以来の地下鉄工事。ジャン=マルクは毎朝9:25、そのそばを通って通勤する。テーラーで働くジャン=マルク。地下鉄で誤って足を踏んでしまった男とケンカに。勢い余って男は倒れ、ジャン=マルクは怖くなって逃げる。まるで死んだようだった男が気になるが、新聞に記事はない。それでも慎重に広場を避ける。届け物のため広場近くを通らねばならなくなり警戒する。
なにごともなく2ヶ月が過ぎたころ、地下鉄であの男と再会する。目が合い、ドキッとするが、何も起こらず…
5.MONTPARNASSE ET LEVALLOIS
モンパルナスとルヴァロワ/脚本・組織化:ジャン=リュック・ゴダール
ボブの髪に、チェックのコートを着た女。投函する手紙を用意する。速達で投函。(音のないシーン。突然音楽が始まると、突然途切れ…)
モンパルナスにある鉄工所のような場所へ。鉄で何か作品を作る男、イヴォン。「外の作品きれいね、なんていうの」「アクション・スカルプチャー」「なにそれ」「制作中に偶然が入り込んだ作品のことだ」
「話があるの、愛してる?」「もちろん」約束の時間より早く来た女。「特別速達はどれくらいで着く?」「4時間か・・・1時間半だろ」「45分したら速達が着くけど、別の人宛てなの。封筒を間違えて送ったの。ほかの男の人に、愛してる、今夜会おうと書いたけど、別れるつもりで会おうとしたの。愛してるのはあなただけ。やさしいから許してくれるわよね」怒りだすイヴォン。女を追い出す。
女は走ってルヴァロワへ。デルピルー鉄板工場へ行く。「モニカよ」自動車修理工場のロジェという男。速達はすでに着いていた。もう読んだというロジェ。「私のこと許すわよね?」「俺のこと好きなんだろ」「彼とは寝たけど本気じゃなかった。会いたいと言うから今夜約束してあげたの、別れるつもりで」
今から寝ましょう、とイヴォンと同じようにロジェを誘うと、ロジェも怒りだす。ロジェに着いた手紙は合っていた、中身は間違っていなかった。
わざわざ喋ってしまったのだ。「愛してる、信じて」など、通用しない。
6.LA MUETTE
ラ・ミュエット/監督:クロード・シャブロル
裕福な家の少年。両親や家庭に不満がある様子。両親の夫婦仲もよくない。(少年の部屋には2匹の猫)食事風景、父親は役人らしい。(部屋には蝶の標本)
両親のケンカが聞こえる。祖父らしき人物の写真が入った額を壊し、写真の目にピンを刺し、化粧品をすべて流してしまう少年。
ケンカの声を聞きたくなくて、耳栓をする。両親のケンカのタネにもなっている、ブロンドのメイドと父親との逢引きを目撃する。両親は相変わらずケンカ。
すべてを耳栓でシャットアウトする少年(少年が耳栓をしているシーンでは音がない)。夫婦ゲンカの末、母親が階段から転落、危険な状態に陥る。父親が家を出た直後のことだ。そして耳栓をした少年もまた、階段を通らずに、別の戸口から外へ。母のことには気づかない…
09.12.5(京都みなみ会館)