俳優 ポール・ニューマン
ほんのついさっき、日付が28日にかわって間もなく、ポール・ニューマンの訃報に接した。
26日、コネティカット州の自宅で、がんのため亡くなったという。83歳。この6月には、闘病中であることも報じられていた。
「ハスラー」(1961)、「暴力脱獄」(1967)、「明日に向って撃て!」(1969)、「スティング」(1973)、「タワーリング・インフェルノ」(1974)、「評決」(1982)、「ノーバディーズ・フール」(1994)… 代表作は枚挙に暇がない。「レーチェル レーチェル」(1968)では監督業に進出、「ハスラー2」(1986)ではアカデミー主演男優賞を受賞。言わずと知れた大スターだ。
反戦運動にも熱心だったといい、自身の食品会社の利益からチャリティーに寄付したり、カーレーサーとしても活動、活躍した。
昨年5月には、アメリカのテレビ番組で “もう満足できるレベルでの役者でいられなくなった” と語ったといい、俳優引退を表明。最後の作品は、ピクサーアニメ「カーズ」(2006)での声の出演。俳優としての最後の出演作は、アカデミー助演男優賞部門ノミネートの「ロード・トゥ・パーディション」(2002)であったと思う。
映画館で「ロード・トゥ・パーディション」を見た時のことが思いだされる。トム・ハンクス演じる主人公が若い頃から世話になっているマフィアのボスの役だった。貫禄と威厳に満ち、しかしのちにはその道ゆえの非情な面も見せる役どころで、その結果としての復讐を受ける。
最期のシーンは、夜の闇の中。部下らが銃撃に倒れた時、自らの運命を察する。その時の眼、その瞬間の胸のうちを滲ませた表情。あのシーンが思い浮かぶ。
青い眼が美しいことでも有名だった。“とうとう、ポール・ニューマンまで”、と。なんとも言えない心持ちになる。名監督、名優らの死。今年だけでも何人、相次いだことか。映画ファンとして、避けられないと解っていてなお、最も接したくない報で、最も悲しいことだ。
合掌
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